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 話を戻しましょう。例えば電服なら電服、ドラッガーならドラッガーといった具合に、1つの殻の中だけで考えていると、突破口がなかなか見えてこないことがあります。しかし殻をいったん取り外し、パッと開けた世界を見渡せば解決の糸口がみつかる確率は格段に高まるはずです。上述の電服の参加企業とドラッガーの参加企業にはこれまで何の接点もありませんから、互いの殻の中に閉じこもっていたら一生出会うことはなく、現在準備を進めているような要素部品の試作は発想できなかったことでしょう。しかしリアル開発会議は、業界の壁も業種の壁も業態の壁も一切ないオープンな場ですから、想像だにしなかった開発の輪が広がって開発自体が活性化、加速化していくのです。門戸を開け、開発の輪を広げて、多くの英知を活用する――。ここがまさに、リアル開発会議の醍醐味といえます。

 さて、他のリアル開発会議ですが、このコラムで残る開発テーマ全ての進捗をご報告するのは難しいので、現在のリアル開発会議のホームページに掲載されていない、2つの新規プロジェクトについて少し触れておきましょう。

 まずは、「温度差なしで発電する」として話題を集めた、開発No.008「温度発電素子」。実は、当初用いていた材料よりも、格段に優れた新材料が誕生しました。開発したのは、このリアル開発会議で技術アドバイザーを務める信州大学繊維学部教授の村上泰氏のグループ。室温から100℃くらいの温度範囲で発電するタイプで、室温でも0.7~0.8Vの電圧を発生します。村上氏によりますと、性能向上には大きく、[1]温度から発電する効率を上げる、[2]損失を極力抑える、という2点の改良が寄与しています。参加企業は現在、この新材料を評価中。リアル開発会議「温度発電素子」では高性能な新材料を軸に、開発を一気に加速させていきます。

 続いては、映像で医師と患者を結び付ける在宅診療向けシステムを広く横展開しようとする、開発No.009「遠隔診断システム展開プロジェクト」。当初は工場やインフラ関連に応用していこうと考えていましたが、このほど導入の第一弾がある介護施設に決まりました。今の予定ですと、5月末に介護施設に入れて運用を開始。そこで同システムを検証しながら、有用性を実証できた段階で市や県にも提案し、導入の輪を拡大していこうと目論んでいます。

 以上、リアル開発会議の進捗を大雑把に説明させていただきましたが、最新動向に関しては6月末に発行する冊子や更新するホームページで詳しくご報告します。前述しましたように、リアル開発会議はリアルな開発の場故、時には思いもよらぬ事態に見舞われたりしますが、着実に歩みを進めています。引き続き、多くの皆様のご参加をお待ちしております。