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新図の7~8割は価値のない「相似形設計」

 そもそも、設計は大きく「相似形設計」と「基本設計」に分けられる。相似形設計とは、顧客の要求に合わせて板厚を変えたり、軸の径を変えたり、ストローク長を伸ばしたり、取り合い点の高さを合わせたりと形状を伸縮することで出来上がる設計である。ただし、相似形設計が新たな競争力や魅力を生み出すことは少ない。

相似形設計と基本設計
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 本当に価値があるのは、新しい形状や方式を考える基本設計である。会社としては、魅力的な製品を開発するために基本設計に力を注ぐべきだ。ところが、実際には新図の7~8割が相似形設計になっているのではないだろうか。形状を拡大したり縮小したりすることに時間をかけているようでは、いつまで経っても魅力的な製品は生み出せない。そうした作業は設計ナレッジに落とし込み、CADの自動設計機能を活用するなど徹底的に効率化すべきである。そして、技術者は新しい形状や方式を考えることに集中しなければならない。

 マツダの一括企画/コモンアーキテクチャーは、相似形設計として効率化すべき部分と、基本設計として技術者が創造性を発揮する部分を、うまく切り分けている印象がある。ぜひ、読者の会社でも相似形設計と基本設計に分離し、新しい形状や方式を生み出すことに挑戦してほしい。

 以上、設計高度化の概要と意義を説明してきた。だが、前回の固定費マネジメントの説明も読んで人はこう思うかもしれない。「固定費マネジメントでは変えない方がいいと言っていたのに、設計高度化ではどんどん変えた方がいいと言っている。矛盾するのではないか」と。それは別の機会で詳しく説明するが、この両輪を矛盾なく進めることが重要となる。

今回のまとめ
・“魅力的な製品”と“もうかる製品”を両立させるべく、「固定費マネジメント」と「設計高度化」を両輪として設計改革を進める
・普通の人たちの設計ナレッジ(経験や知恵、苦労)を可視化・体系化・標準化し、全員力で魅力的な製品を生み出す
・設計ナレッジは、「守らせる」のではなく、それを踏み台に「変えていく」ことが重要である
・設計を相似形設計と基本設計に分けて、相似形設計を効率化しつつ、新しい形状や方式を考える基本設計に力を注ぐ