脳波によるモニタリングの実機から
理解を容易にするために、脳波だけを利用しているモニタリング機器を引き合いに出してみよう。この代表例としては麻酔深度モニタがあり、同機種としては現時点での唯一無二の医療機器といえる。この機器は1990年代に欧米で開発され、現在では米国のAspect社製のものが普及している。
この装置もδ波の出力割合から麻酔深度を示す0-100の指標を算出して表現しており、かつて手探り状態だった麻酔のかかり具合の客観的データが表示されるとして、臨床上で多大な寄与をしている。
スリープスコープと麻酔深度モニタは、「睡眠の深さ」と「麻酔の深さ」をともにδ波で判定することが基本手法として一致しているが、それゆえに前者の信頼性の高さも保証されるといえるかもしれない。
そのうえで、麻酔深度モニタが脳波の多チャンネル計測を行っているのに対して、スリープスコープは1チャンネルで済む、という利点がある。もちろん、麻酔深度モニタは本格的な医療機器であって、医療上でも重要な機器としての任務があり、目的や対象患者も異なるので、単純な比較が不可能であることは付記しておかなければならない。