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 組み込みソフトウエアの複雑化や高機能化に伴い、従来の古典的な開発手法から、品質向上と設計効率化のためにモデリング開発手法が使われるようになってきた。そして最近では、モデルからソースコードの自動生成する手法も多く利用されている。その背景にはCPUの性能向上とメモリー価格の下落で、自動生成した冗長なソースコードでも十分な性能が発揮できるようになったことも挙げられる。

 しかし多くの企業では、まだ従来の開発手法を踏襲しているケースも少なくない。そこで、組み込みソフトウエアの開発分野における分析・設計モデリングの促進と、若手エンジニアやモデリング初心者にモデリングの実践教育の機会を提供することを目的に、2002年に「組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会(SESSAME)」のメンバーが中心になって「UMLロボコン」をスタートした。その後、2005年から「組込みシステム技術協会(JASA)」が主催となり、名称も「ETロボコン」として今日に至っている。

 ETロボコンを通じて、当初の目的であるモデリング教育に関しては着実に成果を上げてきた。しかし、モデリング手法で与えられた課題に対する開発能力は強化されても、新しい製品やサービスの開発には直結しない。実際、昨今の掃除ロボットや布団クリーナーなどのヒット家電の多くは海外製品である。過去に多くのヒット家電を生み出してきた日本メーカーは近年、苦戦をしている。そこで5年後、10年後に製品やサービスを企画できる技術者の育成をしたいという思いから、2013年にETロボコンに新しい部門を創設した。本稿では、こうしたETロボコンの取り組みを紹介する。

ETロボコンとは

 ETロボコンは、「ETソフトウェアデザインロボットコンテスト」の略で、若手技術者へのモデリング教育を目的に産学官連携協力で開催している世界的にもユニークなロボットコンテストである。

 最初はわずか20チームだったのが、2015年は346チームが参加するまでになり、北海道から沖縄まで全国12地域で地区大会を開催している(2014年までは11地区だったが、2015年から九州南地区大会を新設)。そして地区大会の優秀チームは、毎年11月にパシフィコ横浜で同じくJASAが主催する「総合組込み展示会(ET展)」の併設イベントで実施されるチャンピオンシップ大会で日本一を競う。チャンピオンシップ大会の出場枠は40チームで、展示会との併設開催で多くの見学者が集まるこの大会に出場できることは、参加チームにとって大きな目標とモチベーションになっている。2014年のチャンビオンシップ大会の様子は、ダイジェスト版のビデオで見ることができる。図1は、ETロボコンの歴代の参加チーム数の推移である(2015年の参加チーム一覧 )。

図1 ETロボコン参加チームの推移(全国)
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