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 おかげさまでこのコラムも今回が連載100回目となった。これもひとえに、忍耐強く拙文を読んでくださった読者のおかげである。この場を借りてお礼を申し上げたい。

 2011年5月に発表した連載1回目と2回目では「EMSといえばフォックスコン、その素顔は」(前編後編)と題して、EMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手である台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕の歩みと、その創業会長(董事長)である郭台銘氏の横顔を紹介した。

 当時はちょうど、中国で労働者の賃金高騰が言われ始めた時期だった。中でもフォックスコンが同社最大の工場を置いていた中国広東省深センのある中国華南地区は給与水準が全国トップクラスだったことから、同地に拠点を置く製造各社はコスト上昇に悩み始めており、労働集約型の事業を中国で行うのは難しくなってきたとの認識が広がりつつあった。

 こうした中、フォックスコンは深センなど沿海地区からコストの安い四川省成都、河南省鄭州など中国内陸部へと製造拠点を大胆に移し始める。同社の屋台骨を支えていたのは当時も米Apple社から製造を請け負っていたスマートフォン「iPhone」と、2010年に初代が発売されたタブレット端末「iPad」で、いずれも主力の深セン工場で製造していたが、内陸展開を機に、iPhoneの主力工場を鄭州、iPadは成都へそれぞれ移している。