Apple社が日本に技術開発拠点を置くことになったことを深く考えて、現在そして将来の日本の電子産業の価値を再認識することを目的とする今回のSCR大喜利。4人目の回答者は、某ICT関連企業のいち半導体部品ユーザー氏である。
某ICT関連企業
【質問1の回答】これまで日本の企業が得意とした高品質を期待したものであって欲しい
日本の企業人のひとりとして期待を込めて想像する。Apple社が日本で得るものは、日本企業が得意とする高品質での製品開発、製品製造と擦り合わせ型製品、製品開発と考える。日本製品の高品質は長い歴史が証明した事実であり、それを実現する開発手法、検証手法、評価・試験手法がある。これは、とかく過剰品質とか高価過ぎる製品という評価をされてしまうケースが最近多かったように思う。これがまた見直される機会になれば素晴らしいと思う。
例えばiPhoneは、既に生活に欠かせない存在になっているが、何らかの故障が発生しても実際は不便を感じることはあっても生活自体に支障を来すまでには至らない。仮に支障を来すと感じるユーザーがいてもiPhoneを2台、あるいは他のスマートフォンをもう1台持つことでユーザー自身が自己対処できる。しかしApple Watchはさらに生活に密着した製品になりつつあると考える。従来の腕時計でさえ、壊れたまま腕にはめることには空しさを伴う。また、2台持つことにあまり違和感を感じなかったスマートフォンに比べると、腕時計を2台というのは良い対処に思えない。Apple Watchを2台腕に付けると新たな機能が実現できるということがあれば別だが、実現はあまり想像できない。予備として1台をカバンに入れて持ち歩くことも本来の用途になっていない。従って、Apple Watchは壊れてしまうと影響は大きいと思う。
Watchの次にApple社がどのような製品を考えているかは判らない。しかし、より身に付けることを重視したものになるとすると、故障がさらに非常に大きな問題につながる可能性が高い。例えば健康をモニターする機能を持つと、データが間違ってしまうと生命に関わる問題になるかも知れない。Apple社は、今後より身に付けることを重視した新たな製品を考えているとすると、日本の高品質の文化は非常に重要になると考えられる。日本の高品質がまた評価されることにも期待したい。