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非連続な光のエネルギー

 プランクの功績は、まず太陽光のスペクトルについて、光の波長の全領域にわたって測定結果と一致する数式(プランクの公式)を探し当てたことだった。しかし彼の偉大さは公式の発見にとどまらず、その公式にどういう自然現象の法則が潜んでいるかを突き詰めていったことにある。1900年、この公式はある仮定を置くことで導かれるという結論に達する。その仮定とは「物質が発する光のエネルギーEは波としての光の周波数νに比例した量の整数倍に限る」というものだ。

 hはプランク定数と呼ばれ、宇宙のあらゆるところで一定の値を持つ。プランクが発見したこの式には実は革命的な考え方が潜んでいた。光のエネルギーEは1、2、3……と、とびとびに変化する。すなわち光のエネルギーEは連続的に変化せず、ある決まったとびとびの値しか取らないということを意味した。さらにいえば、光のエネルギーは、エネルギー量子という粒の集まりだということだ。プランクはこのエネルギー量子仮説の功績によりノーベル物理学賞を受ける。

 エネルギー量子仮説は、すべての量は切れ目なく連続的に変化するとする古典物理学を覆し、提唱者のプランクさえ過渡的な仮説にすぎないと信じていたほどのパラダイム破壊だった。物理学の革命など念頭になかったプランクは、結果的に革命の先導者の役割を果たしたわけだ。

 とはいえ、エネルギー量子仮説は光のエネルギーの粒子的性質を示してはいても、光そのものが粒子の性質を持っているとまではいっていない。そこが大人たるプランクの奥ゆかしさだ。「光は量子そのもの」という仮説を提唱するには、5年後にアルバート・アインシュタイン(Albert Einstein、1879~1955年)が光量子仮説を発表するまで待たなければならない。この仮説はその20年後に若きヴェルナー・ハイゼンベルグ(Werner Heisenberg、1901~1976年)とシュレーディンガーによって量子力学として実を結ぶ。