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 このように技術ばらしで見える化した結果を共通言語にすることで、ユニットB内の変更がシステム全体にどういう影響を及ぼすか、背反する要求・機能は何か、対策候補は他に何があるかなどを、関係者間で俯瞰しながら議論できるようになりました。

 また、定量的に検証するための簡易的な計算モデルも一部作って検討した結果、ユニットBへの重量目標を緩和した上で部品bを改良し、ユニットC内の部品cも改良すれば、振動・運動性能・燃費それぞれの目標を両立できることが分かり、解決に至りました。

 当初は、振動問題に対してユニットB内の部品bでなんとかできないかという一点だけにフォーカスして、局所的な議論をしていたため、なかなか解決の糸口が見えずにいましたが、システム全体、ユニットB、ユニットCそれぞれの要求・機能を俯瞰し、見える化して議論したことで、全体最適となる落とし所を見つけることができたわけです。

 今回ご紹介した例は、突き詰めると、開発の初期段階の目標割付け時に十分なすり合わせができていなかったことに問題があったと言えます。

 ユニットBへの目標値は、前機種を踏襲しているだけで、今回の製品に合わせて設定されていたわけではありませんでした。そのような実はあまり根拠のない目標値が一人歩きしていて、システム全体での検討内容を確認しないまま、その目標値をユニットB設計部が守ろうとしていたために、今回のようになかなか両立解にたどり着かない状況になっていました。

 もし、システム設計部側が、あらかじめ背反を把握し調整した上で目標割付けをしていたり、ユニットB設計部も目標値の根拠を把握した上で開発を進めていれば、もう少しスムーズに解決できていたはずです。

 このことを理解したA社は、システム全体と各ユニットの関係全体を技術ばらしで整理して技術の関係(背反など)を見える化する活動や、目標値の妥当性を定量的に判断するためのシミュレーション技術の開発などに現在取り組まれています。