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 「今は捜査に全面的に協力している段階で、先のことは決めていない。ハンプ氏に対しては法を犯す意思がなかったことを信じている」。2015年6月19日、トヨタ自動車の豊田章男社長が、ジュリー・ハンプ常務役員の逮捕を受けて、東京都内の記者会見の場に臨み、このように訴えかけました。

 この日のちょうど2週間前に当たる2015年6月5日、豊田章男氏の父親であるトヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎氏が神奈川県箱根町の「箱根ホテル小涌園」で熱弁を振るいました。日本科学技術連盟が主催した「第100回 品質管理シンポジウム」で登壇したのです。日経ものづくり編集部からも複数名、このシンポジウムに参加しましたが、90歳の豊田章一郎氏は、杖をつきながら来場し、品質への思いを熱く語ったといいます。その言葉の端々には、品質をめぐる日本メーカーの現状に対する豊田氏の強い危機感が感じられたとか。事実、タカタのエアバッグ問題、ホンダの大規模リコール、免震ゴムの性能偽装など、日本メーカーの品質を揺るがす問題が最近頻発しています。

 豊田章一郎氏と同様の思いは、製造業の現場の関係者の多くが感じていることも分かりました。日経ものづくりは2015年5~6月に、製造業関係者を対象として、「日本製品の品質」についてアンケート調査を実施しました(回答数439)。そこで、「近年の日本製品の品質についてどう考えているか」と聞いたところ、「低下している」との回答が全体の67.5%に達しました。我々は5年前にも同じ質問をしていますが、このときは、「低下している」との回答は全体の47.8%でしたから、5年間で約20ポイント悪化してしまったわけです。

 こうした危機感から、今回の2015年7月号でお届けするのが特集1「甦れ、日本の品質」です。ここでは、山崎デスクと吉田デスクが、日本メーカーの品質を取り巻く課題と、それを克服するためには何が必要なのかに迫りました。このために、2015年4月からホンダの品質改革担当となった専務執行役員の松本宜之氏の他、2010年の大規模リコール当時にトヨタ自動車副社長として品質保証を担当したトヨタ自動車技監の佐々木眞一氏、そして、品質重視の経営者として知られたコマツの元社長兼最高経営責任者(CEO)である坂根正弘氏(現相談役)など、業界のキーマンへの取材を多数敢行しました。

 2015年7月号でもう1つご紹介したいのが、特集2「モジュラーデザインで受注生産品の設計を自動化」です。「多様な顧客の要求に応えるべく、注文を受けるたびに設計者が新規の図面を起こす」――。受注生産型のメーカーでは当たり前のように見られる光景です。しかし、これとは全く異なるシステムで設計しているメーカーがあります。日立プラントメカニクスの中小型天井クレーン「MOTクレーン」シリーズでは、設計者が顧客の要求仕様(顧客仕様)を入力すると、見積仕様書や設計図(見積図)などの設計成果物が自動で出力されるのです。これを実現できた大きな要因の1つに、モジュラーデザインがあります。夢のようなこの自動設計システムの詳細を、モジュラーデザインを長く取材してきた高野記者が解説しました。特集1同様、どうぞご期待ください。