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臨床試験での活用はウエアラブル普及にもつながる

 セミナーで一例として挙げられていたのは、被験者の行動範囲をGPSセンサーなどで計測することで、「ソーシャルエコノミックバリューも測定できる可能性がある」ということでした。

 つまり、Aという薬とBという薬を従来の評価方法で評価したところ、有効性や安全性についてはほぼ同じ結果が得られたとしても、GPSで計測した被験者の「平均行動範囲」が、Aの薬は10平方メートル、Bの薬は1万平方メートルだったことが分かれば、「Bの薬の方がより社会経済価値が高い」と評価できる可能性があるわけです。あるいは循環器系の医薬品の臨床試験で、心電図を24時間リアルタイムでモニタリングできれば、少ない被験者で有用なデータが短期間で手に入るかもしれません。

Vital Connect社の端末「ヘルスパッチ」(日経デジタルヘルスが撮影)
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 ウエアラブル端末というと、そのデータの信頼性や、常時身に付けることの煩雑さなどの問題がクローズアップされがちですが、臨床試験の中で、被験者に貸与するなどの形で使ってもらえれば、コンプライアンスよく使ってもらうことができ、その有用性などを検証するデータも集めやすい可能性があります。ヘルスパッチについては、今はまだ、実際に臨床試験の中で利用できるかを、Medidata社と一緒に実証試験しているところということでしたが、ウエアラブル端末を科学的に根拠のあるツールとして普及させていく上で、臨床試験の中で利用していくというのはいい手法のように思いました。

 また、こうしたツールが普及すれば、臨床試験のあり方、製薬企業と、被験者や医療機関との契約のあり方なども変わっていく可能性があると思った次第です。いずれにしても、デジタルヘルス、モバイルヘルスと呼ばれる分野の技術革新は要注目に違いありません。

本コラムは、バイオテクノロジーの研究者やバイオ産業の関係者に最新の専門情報を届けるメールマガジン「日経バイオテクONLINEメール」に掲載された文章を再編集したものです。日経バイオテクONLINEメールの新規登録などはこちら
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