利便性に優れるHDD、経済的な磁気テープ
アーカイブ用の記録メディアですが、実は衆目の一致する大本命がいまだ不在です。用途に応じて、利用されているメディアが異なります。それは、メディアごとに異なる長所と短所を備えるためです。主なメディアはHDDと磁気テープ、光ディスクです。それぞれについて解説しましょう。
HDDの最大の特徴は、利便性が高いことです。ランダムアクセス可能、データをファイル単位で管理できるといったことから、利便性が高く、個人用途で多用されています。加えて、ビット単価も比較的安い。
ただし、記録・再生装置と記録メディアが一体になっているHDDには、常に故障に対する不安があります。昨今、大容量化に向けてヘリウムガスを充填したタイプのHDDが登場してきています。物理障害が起きた場合のデータ復旧は、このヘリウム型の方が従来のHDDよりも困難かと思います。
磁気テープの特徴は、とにかくビット単価が安いこと。このため、経済性を重視する企業のアーカイブ用途で主流の記録メディアになっています。従来の課題とされた点も改善に向かっています。例えば、以前はデータをファイル単位で扱うのは困難でした。最近では、「LTFS(Linear Tape File System)」と呼ぶ機能で、磁気テープ内のデータをHDD同様、ファイル単位で扱えるようになりました。
また、バックアップソフトが変わるとデータを復元できない、という互換性の問題がありました。これも、LTFSで解決されています。