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 3Dプリンティング技術の国内製造業での活用が進んでいます。短期間に試作品を得るという目的は、現在の3Dプリンティングの応用としては一部にすぎません。最終製品を造ったり、生産現場で使われる治工具や型を造ったりといった活用がかなり広がっています。

 例えば、ダイハツ工業は軽オープンスポーツカー「コペン」の装飾部品を3Dプリンターで製造し、1年以内に販売開始することを2015年6月に明らかにしました。イクシー(本社東京)は個人向け3Dプリンターでの造形を前提にした筋電義手「HACKberry」の設計データを2015年5月末に公開し、世界中の知恵を結集するオープンソースによる開発を開始しています。製造現場で使われる治工具での活用も進み始めました。リコーは、部品の配膳トレーなどを3Dプリンターで製造し、製造現場のカイゼン効果の向上を図っています。

 これらに共通しているのは、日本の強みが生かされていることです。品質や安全性に対する高い意識、既存工法に関して蓄積されたノウハウ、造りやすさに配慮した設計力などです。それらを3Dプリンティングと融合させたところに、日本ならではの活用の姿があります。

 ユーザー側での3Dプリンティングの使いこなしが進む一方、それに呼応するかのように3Dプリンティングの技術を高度化するための研究開発も国内で加速しています。活用と技術の両輪で、日本の3Dプリンティングが進化しようとしているのです。

 具体的には、技術研究組合次世代3D積層技術総合開発機構(TRAFAM)による世界最先端の金属3Dプリンターおよび砂型3Dプリンターの開発プロジェクトが始まりました。内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の中では、3Dプリンティングを核とした新しいものづくり創出のための設計手法や材料の研究開発プロジェクトが立ち上がっています。

 3Dプリンティングについては、これまで欧米勢に比べてその進捗が遅れていると言われてきた日本ですが、ここ最近の一連の取り組みを鑑みると、その状況は着実に変わりつつあります。日本の強みを生かした、3Dプリンティング・イノベーションが始まろうとしているのです。今回の2015年8月号の特集1「日本発 3Dプリンティング・イノベーション」では、日本における最新の状況をまとめました。担当したのは、3Dプリンティング技術を長年追い続けている中山副編集長と、製造業全般の専門記者として豊富な経験を持つ木崎編集委員のコンビです。ベテラン記者ならではの深い洞察力に裏打ちされた新しい視点が随所に見られます。どうぞご期待ください。

 2015年8月号でもう1つご紹介したいのが、特集2「VR・ARで進化する開発・生産」です。製造業では今、仮想現実(VR)や拡張現実感(AR)技術の本格的な利用段階を迎えつつあります。例えば、眼鏡に映し出された説明書を見ながら製品を組み立てる、仮想空間に入り込んでさまざまな角度から工場レイアウトや製品をつぶさにデザインレビューする─―。この特集2では、2015年6月下旬に開催された「第26回 設計・製造ソリューション(DMS)展」や「第24回 3D&バーチャルリアリティ(IVR)展」で来場者の目を引いた、開発・生産向けVR・AR技術を詳しく解説しました。ご興味があれば、是非ともご一読いただけますと幸いです。