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 「果たして日本メーカーは生き残っているのか」。日経エレクトロニクス最新号の特集記事「東京オリンピックはこれで見る」の企画を進める上で、気になったのがこの一点です。記事の趣旨は2020年の東京五輪の開催時には、視聴者がどんな環境で熱戦を楽しむのかを、要素技術の進展から占おうというもの。ただし出来上がる最終製品がテレビやスマートフォンだとすると、今ですら劣勢にある国内企業が鮮やかに復活を遂げることはできるのでしょうか。

 答えはそれぞれの企業に出してもらうしかありません。記事では各社が取り組む要素技術の進展を取り上げましたが、新技術だけで市場が開けるはずもないことは、みなさんご存知のとおりです。意表をつくサービスやコンテンツと組み合わせた、テレビやスマホの枠をはみ出す製品に期待しています。

 健闘を祈るだけでは、いささか無責任でしょうか。発想を羽ばたかせる触媒を狙って、「るろうに剣心」3部作などで知られる映画監督の大友啓史氏のインタビューを特集記事に加えました。監督曰く、「映像機器の進展って、どこか人間の意識や本能、欲望とすごく関係している」。その意は、VTRの普及に一役買ったアダルトコンテンツばかりではありません。

 例えば、自分だけに見える絵を画面に定着させようとあがく映像作家の欲望。大友監督自身、制作中の新作「秘密 The Top Secret」のために、人の主観映像を再現するシステムの構築に3カ月を費やしたといいます。映画の技術史に名を刻むのは、「STAR WARS」シリーズを送り出したLucasfilm社の取り組みです。大友監督の指摘に、同社の開発の軌跡を追った日経エレクトロニクスの連載「STAR WARS:The Digital Cinema Revolution(日本語で読めます)」を思い出しました。再読してみると、現在の映画では当たり前になった数々の技術が、ジョージ・ルーカス氏の夢を形にするために生まれたことに、改めて驚かされます。