シフトレバーは、センターコンソールのまさに中央部に設置されており、ステアリングを握る手からはやや横方向に遠い。カタログの写真を見れば、シフトレバーが、左右対称の美しいダッシュボードのバランスを崩さない位置にあるのがわかる。カタログ写真の見栄えのよさを優先した、デザインのためのデザインに終わっている感じがする。この点、トヨタの「ウィッシュ」は、左右がアンバランスな様子にカタログ写真では見えるが、運転してみると非常に操作のしやすい位置にシフトレバーが置かれている。本当に使う人のことを考えたら、どちらが正解かは明らかだろう。
また、最近のマツダのクルマは、アクセラも「アテンザ」も、そしてこの新型プレマシーも、エアコン操作のダイヤルと、温度や外気導入など動作状況が表示される部分が離れている。このため視線の動きが大きい。ダッシュボードのデザインを気取るのも良いが、欧州仕込みの優れた操縦安定性をシャシーに与えながら、ドライバーにとって前方を不注意にさせる操作系があることは矛盾する。この点は、今後のマツダのインテリアデザインの改善課題にしてもらいたいところだ。
とはいえ、6人を3列できちんと座らせようとする考え方、数を競うのではなく本当に使えるシートアレンジ、しかもワンタッチかツーアクションで操作が可能である点、さらに、手動でも簡単に開け閉めのできる仕組みを上級ミニバンの「MPV」の部分改良以来追求し続けてきたスライドドアなど、開発者の「自分で使うならこうでありたい」という発想と開発努力に、マツダの真摯なクラフトマンシップが感じられる。新型プレマシーが、私にとって気になるクルマであることに変わりはない。