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 軽自動車ナンバー1メーカーのスズキから、小型SUVの「エスクード」が誕生したのは1988年のことであった。その後、97年に全面改良し、そして2005年5月に全面改良した今回が3世代目となる。

 新型エスクードは、そのデザインにおいて、初代の明快さを取り戻す精悍な姿となり、それが運動性能の高さを想像させる。実際、いくつかの新しい技術の投入が行われた。一つは、SUVとして肝心の4輪駆動(4WD)システムが、センターデフ付きのフルタイム式になったことだ。オンロード用とオフロード用に二つの減速比を備える副変速機を持つのは従来通りだが、フルタイム化により、低速から高速まで4輪駆動を生かした安定した走りが可能になった。

 二つ目は、ラダーフレーム構造を活かしながら、これを車体にビルトインしモノコック化した新ボディである。これにより、強靭なオフロード走破性のみならず、オンロードでのより快適な乗り心地を期待できるだろう。三つ目に、新採用の4輪独立サスペンションがある。オンロードでのしなやかな動きとともに、オフロードでのストロークを活かした駆動力の確保が得られるはずだ。

 こうした新技術投入の成果は、まずオンロードでの快適な乗り心地に現れている。エンジンは、2.0Lの直列4気筒と2.7LのV6の2種類があるが、いずれも室内の静粛性がかなり優れているという印象を受けた。路面からのタイヤ騒音もそれほど気にならない。さらに、比較的高速域でのコーナリングに際しても安定性を保ち、さらにコーナーを攻めてみたいという気持ちをかきたてるスポーティさを持ち合わせている。特に直列4気筒エンジンのほうはより軽快で、爽快な気分にさせる魅力がある。

 こうした走りにはモノコック化したボディと4輪独立サスペンションの成果が大きいだろう。また、フルタイム化された4WDシステムも、常に駆動力を適切に4輪へ配分するので、素直な操縦性が得られていると思う。さらに、前後重量配分を50対50に近づけたパッケージングも、こうした操縦安定性の好印象に効果を発揮しているはずだ。

 2.7LのV6エンジン搭載車では、これにどっしりとした落ち着きが加わる。今回は、4×4の競技にも使われるような過酷なオフロードコースでの試運転も行うことができた。ここは、数週間前に最新の「ランドローバーディスカバリー3」を試乗した場所でもある。

 こうした場面で効力を発揮するのが、副変速機とカム式LSDを装備したフルタイム4WDのモード切り替えスイッチである。ダッシュボード中央のコンソール部に設置されたダイヤル式スイッチで簡単に切り替えが可能で、これを「4L」モードに設定し、オートマチックシフトレバーを「L」に入れれば、あとはこの難路を普段の運転に近い感覚で走破することができる。

 1輪が宙に浮いて空転しそうな場面でも、センターデフのカム式LSDに加え、ESPが作動することにより、駆動力がそこから逃げるのを防ぎ、他の3輪で駆動力を確保し、着実に前進させる。急坂では力強く、ぐいぐいと登り詰めるし、下りも副変速による低速ギアによってスピードが上がりすぎることなく、落ち着いた走行を続けることができる。

 構造が簡素で、小型でありながら、効果的に差動制限を行うカム式LSDの威力は、用意されたカット模型でその作動の様子を見ることができたが、低コスト化の実現と、オフロードでの実力の高さには驚かされる。従来、駆動輪のデファレンシャルLSDとしてカム式LSDが使われたことはあるが、センターデフ用としてはこのエスクードが初めてであるという。

 オフロード走行を終えて思ったのは、その2週間前に乗ったディスカバリー3との比較である。エスクードの2倍以上の価格であり、電子制御を駆使したテレインレスポンスの4WDシステムの威力は、機械式制御に頼る比率の高いエスクードをさらに上回り、ほぼ自動運転に近いハンドル操作のみでオフロードを走りきらせる。また、インテリアの高級な作りなど、568万円からという価格に見合う高級・高性能SUVであることは間違いない。

だが、エスクードはその走行性能においてSUVとして満足すべき水準にあり、これが2.7LのV6エンジンであっても252万円で手に入ることへの驚きと感動は、存在価値を十分に認識させた。手ごろな、しかし本格的なSUVを一度試してみたいというのなら、新型エスクードはその有力候補として選択肢に入ることは間違いない。