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「2013 Spintronics Workshop on LSI」の会場
「2013 Spintronics Workshop on LSI」の会場
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 「2013 Symposia on VLSI Technology and Circuits」(2013年6月11~14日、京都市)の開幕前日の2013年6月10日、スピントロニクスに関するサテライト・ワークショップ「2013 Spintronics Workshop on LSI」が開催された。この中で米Qualcomm社 Advanced Memory Technology担当のSeung H. Kang氏は「STT-MRAM for Mobile SOC:Status and Outlook」と題して講演し、モバイルSoCへのSTT-MRAM技術の応用シナリオなどを示した。

 STT-MRAMは不揮発性メモリでありながら、DRAM並みの高速アクセス性能を実現でき、Gビット級の高集積化が可能で、しかも書き換え回数を事実上無制限にできると期待されている。このため、混載SRAMや混載DRAMといったキャッシュ・メモリや、DRAM(メイン・メモリ)の置き換えなど、幅広い用途が検討されている。

 Kang氏によると、STT-MRAMをどのような用途に使うかによって、要求される技術項目は異なる。例えば、混載SRAMや混載DRAMの置き換えを狙う場合は、コスト(セル面積)よりもアクセス性能の高さが優先される。一方、混載フラッシュ・メモリの置き換えを狙う場合は、性能よりもデータ保持特性が重要になるという。スタンドアローンのDRAMの置き換えを狙う場合はコストが最優先であり、データ保持特性はさほど重視されないとした。

 Qualcomm社ではSTT-MRAMの用途として、(1)混載フラッシュ・メモリの置き換えと、(2)混載SRAMまたは混載DRAMの置き換えの二つを検討している。(1)は40nm~16/14nm世代、(2)は16/14nm~7nm世代での利用を想定しているようだ。

 このうち、特に重視しているのが(2)の用途で、具体的にはモバイル・プロセサのL3キャッシュにSTT-MRAMを利用することを想定している。現在、L3キャッシュにはセル面積の大きいSRAMが使われており、ここに1トランジスタ1MTJ構成のSTT-MRAMを利用することで、L3キャッシュの回路面積、すなわちチップ面積を大幅に削減できることが期待されるという。これによって、MTJ工程の追加によるコスト増を補ってチップ・コストも下げつつ、L3キャッシュの不揮発化による低消費電力化が狙える。

 一方、L1キャッシュやL2キャッシュはより高い性能が求められるため、SRAM以外にふさわしいメモリは今のところ存在しないという。

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