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共同基調講演で登壇する染谷氏
共同基調講演で登壇する染谷氏
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展示ブースは人だかりが絶えなかった
展示ブースは人だかりが絶えなかった
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「羽毛より軽くて薄い」ことを表現するデモ。筒状のケースの中央で舞っているのが今回のセンサ・シート
「羽毛より軽くて薄い」ことを表現するデモ。筒状のケースの中央で舞っているのが今回のセンサ・シート
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 パシフィコ横浜で開催中の「ヘルスケアデバイス展 2013」(主催:日経BP社、会期:2013年10月23~25日)において2013年10月23日、「FPD International/ヘルスケアデバイス展 共同基調講演」が開催された。「フレキシブルデバイスが医療・健康・福祉を変える」と題して登壇した東京大学大学院 工学系研究科 教授の染谷隆夫氏は、フレキシブル技術(有機エレクトロニクス技術)の応用分野として、医療・ヘルスケアが有望であると指摘した。

 染谷氏はかねて、フレキシブル技術の研究開発を手掛けてきた。その立場から、「フレキシブル技術はこれまで、主にディスプレイ(のバックプレーン)に向けた応用が進められてきた。これに加えて今後は、医療・ヘルスケア分野にフレキシブル技術が生きてくる」と語った。

 その理由として染谷氏が挙げるのが、有機素材を利用するフレキシブル・デバイスならではの“柔らかさ”である。Siで作る“硬い”電子回路やセンサとは異なり、“柔らかい”フレキシブル・デバイスは、生体との親和性が高く、新たな医療・ヘルスケアの姿を実現できる可能性があると指摘する。同氏はヤング率に関する図を示しながら、「生体の柔らかさと、これまでの“エレクトロニクス”の間には、柔らかさのギャップがある。このギャップを埋めるのが、フレキシブル技術だ」と説明した。

 ただし、医療・ヘルスケア分野に向けて求められるのは、単なる柔らかさではなく、「生体追従性」(染谷氏)を備えるほどの柔らかさだとする。具体的には、体に貼り付けた際に、体の複雑な形状に沿って密着するようなデバイスである。このため、デバイスの「薄さ」が極めて重要だと指摘した。

 染谷氏らは2013年7月、有機トランジスタを用いて厚さが2μmと薄いセンサ・シートを開発したと発表している。従来の開発品の約1/1000となる薄型化を実現したことで「羽毛よりも軽く柔らかい」(同氏)ため、人体の形状に沿って貼り付けられるのが特徴だ。同氏はこの開発成果を示しながら、「2μmという薄さは、他の用途ではあまり求められないかもしれないが、医療・ヘルスケアへの応用においては決め手になる特性だ」と強調した。

 染谷氏は「日本には優れたフレキシブル技術がある。この高いポテンシャルを、有機ELなどのディスプレイ分野にとどまらず、医療・ヘルスケア分野に生かしていけば、医療・ヘルスケアの飛躍的な発展を支えられる」と語り、講演を締めくくった。

 また、ヘルスケアデバイス展の展示ブースでは、前述の「羽毛よりも軽く柔らかい」生体センサが実際に展示されている。この展示には終日、人だかりが絶えず、来場者の注目の高さがうかがえた。