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 エネルギーハーベスティングのセッション(Session 23)では、圧電効果や電気化学効果、光電効果などの環境エネルギーから効率的に電力を取り出す回路について、最新の研究成果が発表された。電力で1nW~1mW、電圧で0.1V~10Vと広い範囲をカバーするセッションに350人以上の聴講者が詰めかけた。米国の大学から5件、韓国の大学から3件の計8件の発表があった。

 マサチューセッツ工科大(MIT)は、耳内うずまき菅の内部に生じる電位差(約80mV)から出力電圧0.9Vを取り出す電源ICを提案して注目を集めた。出力電力が1.2nWのとき、エネルギー変換効率は53%である。チョッパ方式の昇圧回路を構成し、スイッチにおけるオフリーク電流およびオン抵抗を低減するためのドライバ回路とそのタイミング制御および電圧を工夫することで、低電圧・低電力動作における高いエネルギー変換効率を維持している(講演番号23.2)。

 この他、ジョージア工科大は、エネルギーを多く蓄積する燃料電池と瞬間電力を大きく取れるリチウムイオン二次電池のハイブリッド型電池システムを提案した。同システムに向けて、出力負荷電力の変化に応じて両者を切り替えながら、並行して燃料電池からリチウムイオン二次電池を充電するデュアルソース電源ICを開発した。出力電圧0.8V、出力電力0.1mWにおける変換効率として70%を得ている。ハイブリッド構造により、0.1~10mWを1カ月維持する条件において、従来構造に比べて電池総重量を1/10に低減できるとの試算を報告した(講演番号23.4)。

 アナログ技術のセッション(Session 17)では11件の発表があり、基準電圧発生回路、計測アンプ回路、水晶発振回路など、幅広くアナログ回路の先端技術が報告された。中でも、ミラノ工科大によるナノ試料向けインピーダンスアナライザの発表に注目が集まった。aFオーダーの微小容量を約0.3aFの分解能、1kHz~150MHzの帯域で測定でき、従来に比べて分解能を1桁改善した(講演番号17.4)。

 DC-DCコンバータのセッション(Session 4)では、直流電圧を昇圧・降圧する回路について8件の発表があった。東芝は、3相デジタル制御を特徴とするDC-DCコンバータICを発表した(講演番号4.1)。負荷電流に応じて相数(1~3)を制御することにより、入力電圧5.0V-出力電圧1.5Vの降圧動作において、0.4~9Aの負荷電流範囲で84%以上の変換効率を維持する。システムLSI向けコンバータとして適しており、負荷の動的変化に対して素早く応答し、安定に電圧を供給する。1~9Aの負荷電流の変化に40μSで応答し、出力電圧のグリッチが40mVと小さいことを示した。また、相数の変化に対して出力電圧の変動は10mV以内と小さい。

■変更履歴
記事初出時、タイトルで「nWから10Wまで、10桁の電力にまたがる~」としていましたが、「広範な電力にまたがる」が本文の内容に沿う表現でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。