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 RF分野は引き続き活発な研究開発が行われており、ISSCC 2014では例年通り3セッションが行われた。セッション3「RF Techniques」、セッション14「Millimeter-Wave / Terahertz Techniques」、セッション21「Frequency Generation Techniques」である。いずれも会場の7~9割が埋まり活発な討議が行われた。

 「RF Techniques」では、携帯電話機向けパワーアンプの高効率化に関する技術発表が3件行われた(講演番号3.1、3.2、3.4)。2Gや3GからLTEへと進む昨今のデータレート高速化のため信号振幅変動が増大しており、それに伴うパワーアンプ効率低下の改善が重要な研究課題となっているためである。

 東芝からの発表は、参照負荷を接続した参照アンプ出力の振幅・位相をパワーアンプ出力の振幅・位相と比較し、パワーアンプの負荷インピーダンスが常に最適になるようアンテナ・パワーアンプ間に接続したチューナーを調整する方式である(講演番号3.1)。これにより、アンテナインピーダンスの変動があっても常に最適な性能をパワーアンプに発揮させることができる。

 富士通研究所は、位相変調された信号が入力された高効率CMOSスイッチングアンプの電源に振幅変調を加えるEER方式で、位相・振幅信号遅延差を可変HPFにより自動的に校正する技術を報告した(講演番号3.2)。90nm CMOSにより設計され、26dBm出力時に34.1%PAEを達成した。

 「Millimeter-Wave/Terahertz Techniques」では、近年の傾向通りミリ波・テラヘルツ帯回路の着実な性能向上がみられた。24G~86GHz帯パワーアンプの性能向上に関する報告が4件(講演番号14.1~4)、247GHz以上の主にイメージング応用を念頭に入れた報告が4件(講演番号14.5~8)だった。

 独Wuppertal大学/独IHDは、530GHz信号をTPO(tripple-push oscillator)で生成する4×4ソースアレイを0.13μm SiGeプロセスで設計し、シリコン回路で最高のトータル放射パワー0dBm(300GHz)を達成した(講演番号14.5)。同グループが2012年にISSCCで発表したカメラモジュールと組み合わせることで、すべてシリコンで実現した安価なTHzイメージングシステムを構築できる。また、米Cornell大学は4×4のdelay-coupled発振器アレイに関して報告した(講演番号14.6)。アレイパターンの工夫などにより、100GHz以上の周波数でCMOS回路での世界最高レベルのEIRP+17dBm(338GHz)を65nm バルクCMOSで達成した。

 「Frequency Generation Techniques」では、低位相雑音・低消費電力化を目指したサブサンプリングPLL(講演番号21.2、21.4)、70%を超える周波数可変範囲をもつ広帯域VCO(講演番号21.5、21.6)などの発表が行われた。台湾National Taiwan大学は、従来integer-N型に限られていたサブサンプリングPLLのfractional-N化を実現した(講演番号21.2)。参照パスにデジタルPWM回路を挿入することでfractional-N化を行い、デジタルPWM回路の不完全性の補償のためLMSアルゴリズムを用いたフィードバックループを追加することで、消費電力17.3mWで帯域内位相雑音を-112dBc/Hz(2.2GHz)まで低減した。

 ベルギーIMECとベルギーVrije大学Brusselは、ミリ波帯(60GHz)で動作するinteger-N型サブサンプリングPLLを報告した(講演番号21.4)。VCO出力信号を2分周した低速信号をサンプルすることでサンプリングを容易にしたり、IQ自動更生機能を備えた直交VCO(QVCO)を採用したりすることで信号パスへの不要な寄生負荷の付加を最小限に抑えた。40nm CMOSを用い、42mWの消費電力でRMSジッタを203f~230fsまで低減した。