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LG Display社がSID 2014の展示会に出展した、LG G Flex向けフレキシブル有機ELパネル。
LG Display社がSID 2014の展示会に出展した、LG G Flex向けフレキシブル有機ELパネル。
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同上。ただし、曲げた状態の展示例。
同上。ただし、曲げた状態の展示例。
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 韓国LG Display社は、ディスプレー技術の国際学会「SID 2014」で、2013年に実用化したフレキシブルな有機ELディスプレーパネルについて講演した(講演番号25.4)。韓国LG Electronics社が2013年秋に発売した、やや曲がったスマートフォン「LG G Flex」で用いられている5.98型のパネルである(関連記事)。

デザインをフレキシブルに

 LG Dsiplay社は、フレキシブル有機ELパネルを開発したそもそもの動機は「スマートフォンのデザインの柔軟性を高めるため」(同社)だったとする。それまでのスマートフォンは「ブランドを聞かない限り、皆同じに見える」(同社)。この状況を変えるために、曲がったデザインを採用し、そのデザインに合うようにフレキシブルな有機ELパネルを開発したとする。

 フレキシブル有機ELパネルは、まずガラス基板に低温多結晶Si(LTPS)のバックプレーン、そして有機層などを形成し、それにガラス側からレーザーを照射してガラス基板を剥離。それを黒いフレキシブルフィルムに貼りつけて作製するという。

封止層を何層も形成

 講演ではほとんどの時間を、水に対する高いバリア性能(WVTR)をいかに確保したかについての説明にあてた。

 まずLG Display社は、ポリイミド基板とTFT層の間に無機材料が主体のバッファー層を数層形成した。具体的に何層かは明らかにしていないが、講演資料では3層以上はあるもようだ。これによってポリイミド基板側からの水分の透過が防がれ、TFTの信頼性が大きく向上したとする。

 次に、有機EL層の封止についても言及した。ガラス基板の有機ELパネルでは縁の部分の封止に注力するが、フレキシブル基板では有機EL層全体を覆うような封止が必要になるという。

 具体的には、まず無機材料主体の層で有機EL層を密閉する。次に「PCL(particle covering layer)」と呼ぶ樹脂層、そして再び無機材料主体の層を重ねる。その上に約50μm厚のバリア性能の高い粘着性フィルムを貼り、さらにやはり約50μm厚のバリア性能の高い別のフィルムで封止する。

 PCLの縁の部分は、「ダム構造」と呼ぶバリア性能の高い材料でPCLの樹脂層をせき止め、その外側で無機材料主体の層同士を貼り合わせる。「ダム構造がない場合は、縁から水分が侵入する」(LG Display社)という。

 ちなみに三井化学は2014年5月末に、同社の有機ELシール材「ストラクトボンド XMF-T」が、この有機ELディスプレーパネルに採用されたと発表した。高い耐水性とバリア性、透明性などが評価されたとしているが、パネルのどの層に用いられたかは明らかにしていない。
 

有機と無機の電極の接触部分は応力を分散する工夫

 パネルをフレキシブルにすると、フレキシブルな電子回路と無機の電子回路ICなどとの接触が劣化要因になることもある。LG Display社はこれを、「D-IC Bump」と「Conductive Ball」を用いることで回避したとする。

 D-IC BumpはICとパネルの電極パッドの間に挟む大型のバンプ。これを挟むことで、ICからの応力がパネルに分散して伝わるようにするものだという。

 また、Conductive BallはD-IC Bumpの中で特に電極パッドとの接触面に設ける小さな電極。導電性を高める工夫だとみられる。

 こうして作製した5.98型フレキシブル有機ELパネルは、厚みが0.44mm。重さは7.12gであるという。G Flexでは曲率半径700mmで用いられているが、パネル自身は同約15mmまで曲げられるとする。