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講演する紀ノ定氏
講演する紀ノ定氏
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 岐阜大学大学院 医学系研究科 医療情報学分野 教授の紀ノ定保臣氏は、2014年7月7日に開催された「医療ビッグデータ・サミット2014 ~ゲノム解析から予防医療、自動診断まで――ビッグデータがもたらす新産業~」(主催:日経デジタルヘルス)に登壇。「データ活用で医療の質は劇的に向上する」と題して講演した(関連記事)。

 紀ノ定氏は、医療の質を高め、同時に医療コストを削減する上ではデータの活用が重要だと指摘。医療の質は、医療機関の「構造(人材や診断・治療機器など)」「過程(業務やデータの流れなど)」「成果(平均在院日数や再手術率など)」で測られるとし、データ活用がこれらの改善につながるとした。岐阜大学 医学部附属病院(岐阜県岐阜市)での実践例として紹介したのが、手術部と薬剤部での取り組みだ。

手術が長引くと再手術の可能性が高まる

 手術部では、手術の予定時間と実際に要する時間の差を縮めることで、手術室を効率的に運用するとともに手術の質を改善した。従来は手術時間が予定を3時間以上超えるケースがしばしばあり、その場合には再手術が必要となる確率が有意に高かったという。そこで、手術時間が予定を3時間以上超えた場合に、その要因と対策をまとめたレポートを提出させる「3時間ルール」を設けた。これにより、現在では手術の予定時間と実際の時間の差はほぼなくなったという。

 この他、手術中の体温管理もデータ化により改善した。手術中は患者の体温を36度以上に保つことが術後の経過を良くするために重要とされるが、これを90%近い症例で実現できるようになった。ただし、術後に体温が38度近くに上昇してしまうケースがあるため、今後はその改善に取り組むという。

 薬剤部については二つの事例を紹介した。一つは、耳鼻科でグレード2以上の有害事象が発生した場合に、薬剤師が医師と協力して薬剤処方の介入を行うようにした。これにより、平均入院期間を13.6日短縮でき、年間で3000万円強の医療費削減につなげられた。もう一つは、抗菌薬の使用の適正化。これによって抗菌薬の投与期間を短縮でき、年間で3500万円ほどの薬剤費削減につながったとした。