PR

 東京大学 教授の桜井貴康氏と同 染谷隆夫氏の研究グループは、腕に巻き付ける形で利用するフレキシブルな発熱警告シート「Fever Alarm Armband(FAA)」を開発した(関連記事)。半導体回路技術の国際学会「ISSCC 2015」で発表した(講演番号16.4)。太陽電池もシート上に実装されており、その出力を電源として動作する。電源コード不要でしかも発熱の有無を常時モニターできるため、突然発熱する幼児のケアなどに役立ちそうだ。

 シートの寸法は30cm×18cm。これを腕に巻き付けて利用する。シートには有機半導体で構成するリング発振回路、熱センサー回路、そして寸法が10cm×5cmで圧電効果を持つ有機材料のPVDF(polyvinylidene difluoride)から成るシート状のスピーカー、そして11cm×13cmのアモルファスSi太陽電池などが実装されている。

 熱センサー回路の抵抗は、温度が38℃を超えると急激に抵抗値が4桁大きくなる。するとリング発振回路に供給する出力電圧がほぼゼロとなり、リング発振回路が発振を始める。発振周波数は3k~6kHzで、PVDFがこの電気的振動を物理的振動に変換する。つまり、ブザー音となって聞こえる。

 工夫した点は、光の照度が700~3000lx時の太陽電池の出力電圧を、システムの動作電圧である9~15Vに範囲に収まるようにした点だ。これは、ダイオードのような特性を備えた「Active voltage limiter (AVL)」回路を用いて、太陽電池の駆動電圧を制御することで実現した。AVL無しでしかも発熱していない場合、照度1000lxで既に太陽電池の出力電圧が15Vを超え、有機回路が壊れてしまう。3000lxまで許容されれば、太陽光が直接当たらない昼間の室内で広く利用でき、実用性が高まる。