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ディーゼルエンジンの外観
ディーゼルエンジンの外観
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 トヨタ自動車は、新しいディーゼルエンジンのピストン頂面に、新しく開発した膜を設けた。ピストンに逃げる熱を減らせ、燃焼時の熱損失を減らせる。将来はシリンダー内壁などに採用領域を広げたい考えだ。

 2015年5月21日にタイで発表した、新興国向け戦略車「ハイラックス」の排気量2.8L直列4気筒ディーゼルエンジン「1GD-FTV」に採用した(関連記事)。今回の技術を採用することなどで、同エンジンの最高熱効率は44%に達する。

 新しく開発した膜をピストン頂面に設けることで、燃焼時の筒内ガスの急激な温度の上昇に合わせてピストン頂面の温度が上がり、二つの温度差が小さくなる。熱損失を大きく減らせる。膜のない通常のピストンでは、熱がすぐに逃げてしまい、温度差が大きくなってしまう。

 加えて、排気行程後に筒内ガスの温度が低くなると、ピストン頂面の温度も下がることも特徴だ。吸気・圧縮行程時の温度上昇を抑えられる。吸気時に筒内の温度が高くなると、空気が入りにくくなる上、NOx(窒素酸化物)が増えやすい。

 アルミニウム(Al)鋳造合金のピストン頂面を陽極酸化処理して、多孔質のアルミナ(Al2O3)を薄く作って実現する。アルミナ中にすき間が多くできて空気が入り、熱伝導率が低くなることに加えて、比熱が下がる。つまり「熱は伝わりにくく、逃げやすくなる」。燃焼してガス温度が急激に上がったときにピストン頂面の熱が逃げにくいため、ガス温度とピストン頂面の温度差が小さくなる。吸気するときには、熱が伝わってピストン頂面の温度は下がっており、吸気加熱を防げる。