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講演する原氏
講演する原氏
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 「ICTを活用したヘルスケアを、“普通の健康な人”から浸透させようとするのは無理。まずはスポーツ分野で成功事例をつくるべき。今はその絶好のチャンスだ」。

 健康に不安を抱えていない人に、ヘルスケア(予防医療)にお金を払わせるのは至難の業――。大阪市立大学 大学院工学研究科 電子情報系専攻 教授の原晋介氏はこう話す。「健康な人ほど自分の健康には無頓着。ヘルスケアに日々取り組もうなどとはせず、そこにお金を生むビジネスモデルは見いだしにくい」。では、ITヘルスケア市場を立ち上げるにあたり、狙うべき対象は誰か。健康への「マインドの高い、アスリートだ」。

「わずらわしさ」には勝てない

 同氏は「ITヘルスケア学会 第9回年次学術大会&モバイルヘルスシンポジウム2015」(2015年6月6~7日、熊本市)の「ICTの実践と活用」と題するセッションに登壇。「ICTの医療、看護、介護、ヘルスケアおよびスポーツ科学への応用 ―ピンチをチャンスに変えるには?―」と題し、ITヘルスケア市場の立ち上げに向けた持論を語った。

 スマートフォンやウエアラブル端末を使ったヘルスケアの市場成長への過度な期待に対し、「我々は“幻想”を見ているだけ」と原氏はクギを指す。その理由として、一般消費者の健康増進への無関心に加えて次のような点を挙げる。魅力あるインセンティブがなく、「やって良かった」という成功体験にも乏しい。「効能」と「わずらわしさ」はトレードオフで、多くの場合に「わずらわしさ」が勝つ。可視化した生体情報の意味を読み取る「ヘルスリテラシー」が多くの消費者にはない。