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 半導体素子の微細化、III-V族半導体やGeなどの新規チャネル材料や新規構造の採用が着実に進むにつれ、信頼性技術はますます重要になる。これに伴い、関連する研究の内容も多彩になってきた。「2015 Symposium on VLSI Technology」(2015年6月15~18日、京都)の初日午後のセッション「Reliability」(Session 4)では、さまざまな切り口で信頼性が議論された。

 MOSFETの移動度向上に向けてチャネル材料をSiから別材料に置き換える研究については、さまざまな材料が提案されている。現在実用化に最も近いのは、pMOSFETにGeを使う方法である。英Liverpool John Moores UniversityとベルギーIMECは、Ge pMOSFETのAC動作状態でのNBTI特性の詳細を報告した(講演番号T4-1)。

チップ動作状態を見据えGe FETの信頼性評価

 Siをチャネル材料に用いる従来構造では、AC動作時の寿命は実効的なバイアス時間を基にDC印加時のしきい値電圧(Vth)変化から予測できた。ところがGeではこの手法が使えない。今回の論文の著者らはHfO2/SiO2/Siキャップ/GeとAl2O3/GeO2/Geのゲートスタック構造について、この現象を詳細に調べた。

 AC-DC-ACというストレスをデバイスに加えた場合、SiON/Si構造の通常のMOSFETでは、DC印加中に加速されたVthシフトはACに戻った場合に元のVthレベルに回復する。これに対し、Siキャップ/GeやGeO2/Geの構造では、DC印加中に加速されたVthシフトはACに戻った場合にも元のVthレベルに回復しない。これは、Geチャネル構造では酸化膜中の欠陥に電荷が捕獲されると欠陥のエネルギー準位そのものが変化し、容易に放出されなくためと考えられる。この現象はSiチャネルでは起こらなかったものである。

 こうした現象から、Ge pMOSFETのAC動作状態の寿命をDC動作での結果から見積もると、寿命を過少に見積もってしまう。Ge MOSFETでの寿命予測ではこのような違いを考慮することが重要だ。