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 産業界ではビッグデータ処理やタブレット端末などのモバイル応用の重要度が増しており、マイクロプロセッサーの高性能化と低消費電力化への要求は高まるばかりだ。一方、微細化だけに頼る高性能化や低電力化は難しくなっているため、回路からソフトウエア、パッケージまでさまざまな技術を結集し、この問題に取り組んでいる。

 プロセッサー高性能化の方向性の1つは、クロック周波数の向上である。最適化計算などの複雑な処理が必要な用途では、並列度が比較的低く、マルチコアによる並列処理が効果的に働かない場合があるためだ。一方でクロック周波数向上における問題点は、消費電力とPVTばらつきに対するロバスト性である。

 この問題を解決する技術として米IBM社は今回、共振回路技術に基づく大規模大域クロックネットワーク技術を発表した(講演番号C23-5)。共振クロック回路では、クロックネットワークの寄生容量と並列にインダクタを配置し、共振回路を構成する。この際、共振回路での振動に合わせて、クロックパルスでクロックの電位を上げることにより、クロック供給系の電力を減らせる。

 エネルギー効率を高めるには高いQ値をもつLC回路が必要で、そのために従来は大きな面積のインダクタが必要だった。今回の発表では2層に積層したインダクタにより、小面積で高いQ値を実現した。また、プログラマブルな遅延回路を用いることでロバスト性を向上している。

 同社の「IBM z13」マイクロプロセッサーは、17層メタル配線の22nm世代high-k CMOS SOI技術で実現したもの。8つのプロセッサーコアと40億トランジスタを集積している。5G~5.5GHzの周波数領域で、最終段のクロックメッシュの電力を、共振を用いない場合と比較して50%削減した。