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 「2015 Symposium on VLSI Circuits」のSession 18は「Wideband Over-Sampled ADCs」と銘打ち、広帯域オーバーサンプルA-D変換器について5件の発表があった。5G対応など通信速度の高速化に対応し、オーバーサンプルA-D変換器ICも順調に広帯域化されているようだ。

 テキサスA&M大学は、75MHz帯域で65dBのSNDRを達成した3次ΔΣ-ADCについて発表した。このA-D変換器ICの最大のポイントは、変調器の最後の加算器のフィードバックファクターを改善した点にある。フィードバックファクターはボルテージフォロワー構成時の帰還が最大の時に1となって、雑音やひずみの帰還による低減効果が発揮される。だが、フィードバックファクターが小さくなると、低減効果が減少するので演算増幅器の帯域をその分大きくする必要があり、消費電力が増大する。

 今回のA-D変換器ICでは、最終段の加算器に単なる反転増幅器を用いるのではなく、電圧電流変換バッファーを挿入して構成する。これにより、フィードバックファクターがほぼ1になるように工夫した。最終段加算器に必要なGB積を、従来の28GHzから3.5GHzへと8分の1に削減している。この回路では広帯域のΔΣ変調器を簡単に構成でき、75MHzの帯域を持ちながら消費電力はわずか23mW。広帯域化に特化した形で、回路がまた一つ大きく進化した。