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 「2015 Symposium on VLSI Technology」の会期3日目午前には、Session12「Memory Technology:MTJ and Related Devices」が開催された。MRAM向けの磁性トンネル接合(MTJ)形成技術やMTJを使った派生デバイスに関して、4件の論文が発表された。

 まずセッション前半では、MTJの加工と耐熱性改善に関して東北大学が2件を発表した。1件目は、MTJ寸法をサブ20nmに微細化する際に生じる加工ダメージの低減を目的とした、酸素プラズマシャワーによる後処理(Oxygen Showering Post-process:OSP)の提案である。

 OSPを適用して45秒間処理した場合に、MTJのMR比(磁気抵抗比)が約90%から約118%に改善したという。ただし、OSP処理時間が60秒を超えるとMR比とMTJ抵抗はともに急激に劣化し、Hc/Hshiftも急減する。この要因について、研究グループはダメージを受けていない層(damage-less layer)の酸化が始まるためではないかと推測しているが、実験的には未確認である。今後の十分な物理的解析が待たれる。

MTJのMR比や熱耐性を改善

 2件目は、10nm径のCoFeB-MgO系p-MTJ(垂直磁気異方性を持つMTJ)において、耐熱性の改善を試みたもの。MTJ中で局所的に生じるラフネスを改善し、MR比などを改善した。同時に、MTJ膜中のホウ素(B)拡散を制御し、400℃を超える高熱プロセスにも耐性を持たせた。研究グループはブランケットウエハー(blanket wafer)上の膜状態における400℃までの耐熱性を「IEDM 2014」で報告しており、今回はその続編に当たる。

 今回の発表では、CoFeBのB濃度を最適化することでMTJの耐熱性を改善できること、およびその効果はDouble(Dual) MgO構造のMTJでより鮮明であることを示した。MgOを2層使うアイデアは従来からあるが、今回は10nm径のDouble MgO構造MTJにおいて、400℃の熱工程を経ても120%のTMR比を保つことを示した。これは、2つのMgOの間に挟まれたフリー層(free layer)領域にBが閉じ込められ、比較的高温の熱工程を経てもCoFeB層で最適なB濃度を保てるためという。配線形成時の温度に耐えられる微細MTJを実現できれば、大容量MRAMの実現にも一歩近づいたといえる。