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導入しやすい技術から実用化

 加工手法と材料技術の進展によって,システム・オン・フィルムの応用範囲はさらに広がる見通しである。ただし,現状では印刷による半導体の性能が不十分な用途が多いため,ロール・ツー・ロールによる製造プロセスと,印刷を同時に導入することはできない。このため,デバイス・メーカーは2通りの方法でシステム・オン・フィルムの量産への導入を進めている。一つは,ロール・ツー・ロールによる製造プロセスを先行して導入する。もう一つは,印刷法を多く使ったデバイスの実用化を先行させる(図5)。

図5●ロール・ツー・ロール,TFTの印刷による形成,ガラス基板からのTFTの転写を採用したデバイスの例
図5●ロール・ツー・ロール,TFTの印刷による形成,ガラス基板からのTFTの転写を採用したデバイスの例
デバイスによって,ロール・ツー・ロール方式の量産,リソグラフィと同等の性能のTFTを印刷の実現など,優先して導入する技術の順番が異なる。各社のデータ。
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 例えば,ブリヂストンの電子ペーパーや富士電機システムズの太陽電池,次世代モバイル用表示材料技術研究組合(TRADIM)の液晶パネルは,ロール・ツー・ロール方式の採用を先行させたものである。理由は, TFT形成などの難易度の高い技術は,当初は真空プロセスを採用しても,連続一貫処理によるコスト低減効果が大きいためである。一方,ソニーや凸版印刷などは,まず印刷による電子ペーパーや有機ELパネル向けに,アモルファスSiと同等の性能のTFTを数万個規模で形成する印刷技術の実用化に注力している。

リソグラフィと同等性能の有機TFTを印刷で

 ソニーや凸版印刷など,印刷でTFTを実用化しようとするメーカーは,3段階で製造工程を印刷に置き換えていく。まず,リソグラフィなどの真空プロセスで,アモルファスSiと同等性能の有機TFTを開発する。次に,一部の工程を印刷法に置き換え,最後に,すべての工程を印刷法で形成する段階を踏む。こうして印刷で大面積化,低コスト化できる技術を確立し,量産に適用する。現在は,ほとんどの企業が試作の段階にあり,量産の開始は2010年代前半となる見通しである。量産当初から,有機半導体層と絶縁膜を印刷で製造する可能性が高い。