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電子ペーパー◎ロール・ツー・ロールの量産で先行

 電子ペーパーは,紙の代替を狙うため,フレキシブルなフィルム基板を使いやすい分野である。さらに,セルの寸法が100μm以上と大きく,デバイスの構造が簡素なため,量産へのハードルが低く,システム・オン・フィルムの量産で先行している注10)

注10)電子ペーパーのアクティブ駆動は有機ELなど他のディスプレイに比べて応答速度が低速で,駆動用のTFTに高い電子移動度を必要としないため,実用化しやすい。

図6●電子ペーパー・オン・フィルム
米SiPix Imaging, Inc.,オランダPolymer Vision Ltd.はロール・ツー・ ロールによる連続生産を行っている。各社のデータ。
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 メーカーの開発動向は二つに分けられる。一つは,ロール・ツー・ロールによる製造を先行させるメーカー。もう一つはフィルム基板に印刷でアクティブ駆動用TFTを形成する開発を先行させるメーカーである。ロール・ツー・ロールによる量産を先行させるメーカーには,米SiPix Imaging, Inc.,ブリヂストン,オランダPolymer Vision Ltd.がある。一方,フィルム基板上に印刷で形成する有機TFTによるアクティブ駆動電子ペーパーは,大日本印刷,凸版印刷とソニーのグループが試作している(図6)。

 ロール・ツー・ロールによる生産では, SiPixに続いてPolymer Visionが2007年末に量産を開始した注11)。ブリヂストンは 2009 年にサンプル品の出荷を開始する。SiPixの製造プロセスは,まず,透明電極を形成済みのフィルム基板に樹脂を塗布し,ロール状金型を使ってマイクロカップと呼ぶ微細な凹凸構造を形成する。その後,顔料と着色した液体をマイクロカップに充填し,もう1枚のフィルムでラミネートするプロセスを連続的に行う(図7)。

注11)Polymer Visionはロール・ツー・ロール生産によるモノクロ表示の電子ペーパーを2008年中に携帯電話機向けに出荷する計画である。これとは別に,2008年5月には,ロール・ツー・ロール生産によるカラー表示の試作品を公表した。

図7●米SiPix Imaging, Inc.のロール・ツー・ロール生産プロセス
マイクロカップの隔壁の線幅は約30μm,セル・ギャップは15~30μm,ロール状金型で成型する隔壁の角度は95°である。同社のデータ。
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 一方,印刷による有機TFTを使ったアクティブ駆動の電子ペーパーの開発を優先するメーカーでは,大日本印刷が30フレーム/ 秒の書き換えが可能な白黒の2値表示品を試作した。現在の有機TFTはSi-TFTに比べて電子移動度が2~3ケタ低く,十分な性能を確保するにはTFTの寸法を大きくする必要がある。このとき,電子ペーパーの開口率が犠牲にならないように,画素電極でTFTを覆う素子構造を採用した。