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ディスプレイ面をアンテナに

 複数の無線方式を利用する時代への対応策としては,特殊な技術でアンテナ素子の長さを短くする以外の方法も提案されている。それが,(2)の微細加工技術を用いて1本1本のアンテナ素子を目立たなくすることである。例えば,日立電線とNICTは2007年2月に広帯域で透明シート状のアンテナを試作した2)

 地上デジタル放送,2GHz帯の携帯電話,5GHz帯の無線LANと幅広い周波数に対応する。アンテナ素子の線径を肉眼で見えない20μmにまで細くし,透明にすることにこだわった。線径を細くするとアンテナ素子1本のインピーダンスは大きくなるが,素子を3本以上並べて用いれば,線径1mmのアンテナ素子とほぼ同等の結合損失になったという。

 広帯域への対応は,これらのアンテナ素子を,長さを変えながら数十本並べることで実現する(図5(a))。単純に長さを変えるほかに,素子の適当な位置に切断点を設けることも広帯域化には有効であるという(図5(b))。自動車のフロントガラスに張って使えるほか,携帯電話機のディスプレイ・パネル上に張って使うことも想定している。

図5 微細な素子を多数利用して広帯域化
NICTが開発した広帯域アンテナの例(a)。地上デジタル放送向けアンテナは,幅0.1mmと極細のアンテナ素子を25本,長さを変えながら並べたもの。(b)は,長さはそろえる一方で,各素子に短い切断個所を設けることで広帯域対応を実現する技術。いずれも470M~770MHzの周波数に対応する。(b)は『信学技報』, vol.106, No.556(20070228),pp. 59—66の図を基に作成した。