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特性を可変にしてUHF帯を攻略

 (3)のアンテナの特性を可変にする技術を開発しているメーカーは,(1),(2)の小型,または透明なアンテナ素子のメーカーよりもずっと多い。以前からRFアナログ技術を手掛ける村田製作所やアルプス電気のほか,Intel社やソニーといった,チップ・メーカーや機器メーカーも一気に開発に参戦してきた。

 特性を可変にするアンテナが続々と登場している理由の一つは,ワンセグなどが用いるUHF帯周波数に対処する上で,アンテナに一工夫が必要だからである。UHF帯は電波の波長が長く,しかも利用対象になる周波数の幅が広い。アンテナ素子を単純に小型化して携帯電話機の筐体に内蔵すると,アンテナ利得など性能の大幅な低下が避けられない。

 対処の一つが,可変容量ダイオードを利用するなどしてラジオのように共振周波数を可変にしたチューナブル・アンテナを使うこと。アンテナが一度にカバーする周波数帯は狭まるが,それぞれの周波数帯で共振のQ値を高め,リターン・ロスなどの損失を低減できる。

†可変容量ダイオード=ダイオードとコンデンサを組み合わせた素子。バラクタとも呼ぶ。印加電圧を変化させると,コンデンサの容量を制御することができる。

†リターン・ロス=アンテナの効率を示す指標の一つ。アンテナに信号を入力した場合に,その電力と,反射して失われる信号の電力比。反射損失とも呼ぶ。VSWRと1対1の関係で換算できる。

 こうしたUHF帯向けチューナブル・アンテナは,村田製作所が最初に開発,実用化した(図6)。2007年秋冬モデルの携帯電話機のうち,日立製作所の「au W53H」などに搭載されている。2008年の春モデル以降の携帯電話機は大半がワンセグ用アンテナを筐体内に内蔵するタイプに変わっており,こうしたチューナブル・アンテナの需要は高まる一方だ。

【図6 UHF帯のアンテナもケータイに内蔵へ】 au W53Hに搭載された,村田製作所のUHF帯向けチューナブル・アンテナ(a)。バラクタといった容量可変ダイオードを利用して特性を変化させる。アルプス電気が2007年10月の「CEATEC 2007」に出展したチューナブル・アンテナ(b)。UHF帯でのチューニングだけでなく,VHF帯を利用することも可能にした。NHK技研が2008年の「技研公開」で発表したUHF帯向けループ・アンテナ(c)。Cuの細い配線を唐草模様のように織り込むことで,携帯電話機に搭載可能な大きさと形状にした。
図6 UHF帯のアンテナもケータイに内蔵へ
au W53Hに搭載された,村田製作所のUHF帯向けチューナブル・アンテナ(a)。バラクタといった容量可変ダイオードを利用して特性を変化させる。アルプス電気が2007年10月の「CEATEC 2007」に出展したチューナブル・アンテナ(b)。UHF帯でのチューニングだけでなく,VHF帯を利用することも可能にした。NHK技研が2008年の「技研公開」で発表したUHF帯向けループ・アンテナ(c)。Cuの細い配線を唐草模様のように織り込むことで,携帯電話機に搭載可能な大きさと形状にした。
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