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 ただし,製品化予定はやや先のようだ。「現在,関連特許の整備を進めている最中。2010年にはモバイル端末向けテレビ放送規格のDVB-H向けに製品を出荷する計画」(Desclos氏)。

†DVB-H=Digital Video Broadcasting for Handheld。欧州におけるデジタル放送の標準化団体のDVB(Digital Video Broadcasting Project)が策定した,携帯電話機に向けた地上デジタル放送の仕様。固定受信向け地上デジタル放送の仕様であるDVB-Tに比べて,消費電力が小さいのが特徴。

 実現はさらに先になるかもしれないが,携帯電話機から見て基地局からの電波がどの方向から届いているかをリアルタイムに把握し,その方向に電波のビームを向けるような研究も進めているという。

電子レンジの方向を自動的に回避

 今後の無線通信は,送信機のアンテナからやみくもに電波を出すのではなく,適切な方向にビームを出し,受信機側も電波が来る方向に受信特性を合わせていくといった技術が標準的になるかもしれない。

 こうした無線基地局と端末の高度な連携技術を,家庭用の無線LAN製品で既に実現済みなのがソニーである。同社は,家庭の2階など離れた所にあるテレビにHDTV映像を無線で飛ばすための伝送装置「ロケーションフリー」シリーズの最新機種「LF-W1HD」に,電波の送受信方向を自律的に最適化する機能を実装した(図8)。

図8 電波の送受信の向きをアンテナが自律的に最適化
ソニーの,HDTV信号を無線LANで伝送できるシステム「ロケフリ HomeHD」シリーズの製品のアンテナ部分(a)。2.4GHz帯と5GHz帯のアンテナ素子を1組として計6組のアンテナ素子が,360度の方向をカバーするよう配置されている。受信機のアンテナは,6組が高速に切り替わりながら電波を最も強く受信できる方向を走査している(b)。送信機は受信機が受信したデータのエラー率が最も小さくなるように,方向を選びながらデータを送信する(c)。これによって,送受信機間に電子レンジなど電波妨害となる機器があっても,自律的にその方向を避けて通信を開始する。