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自動車やボイラーなどの廃熱,太陽熱,人間の体温,歩行時の振動,産業機器や高速道路の振動など…。これまで利用されることなく捨てられていたエネルギーをかき集める「エネルギー回収技術」を活用する動きが盛んになってきた。60年近い研究を経て,今,離陸する段階になっている。

【図1 10μWから1kWまで幅広い出力を実現可能】熱も広義の振動ととらえ,振動による発電と熱による発電の各例で,現在の技術で可能な出力と振動数を示した。熱による発電では面積1cm2当たり5W,面積1m2当たり1kWの出力が見込める。振動による発電ではタービンを使うものが,最も効率が高い。発電素子の大きさと出力の大きさにも正の相関がある。
図1 10μWから1kWまで幅広い出力を実現可能
熱も広義の振動ととらえ,振動による発電と熱による発電の各例で,現在の技術で可能な出力と振動数を示した。熱による発電では面積1cm2当たり5W,面積1m2当たり1kWの出力が見込める。振動による発電ではタービンを使うものが,最も効率が高い。発電素子の大きさと出力の大きさにも正の相関がある。
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 どんなエネルギーも一度熱や振動になってしまうと,そこからの再利用は難しい――。そんな従来からの常識が覆りつつある。熱や振動をエネルギーに変える「エネルギー回収技術」の効率や発電量が最近になって大幅に向上し,実用化に耐え得る水準に達しつつあるからだ(図1)。加えて,応用面からのニーズが高まったり,省エネへの機運から,こうした技術の採用を政府などが促進したりする方向にあるからである。

センサ用途で実用化始まる

 特に今,エネルギー回収技術と応用面での要件が一致し,実用化が始まりつつあるのがセンサだ。センサは多くが間欠的に動作,または通信するため,平均の消費電力が小さくて済む。これまでは給電に1次電池を利用する場合がほとんどだったが,センサ数が数千と導入規模が大きくなるにつれて,電池とその交換コストが深刻な課題になっていた。