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MEMS技術が,半導体メーカーの事業領域を拡大している。携帯電話機向けのRF(無線周波)回路用電子部品,カメラ・モジュール向けレンズなどの光学部品を,半導体メーカーがMEMS加工技術の活用によって自ら開発・製造できるようになった。モジュール化の進むデバイスを他社から部品調達せずに,自社だけで製造する“総取り”が狙える。この動きは,まずは大手IDM(integrated device manufacturer)の半導体メーカーで始まり,続いてファブレス半導体企業にも広がっていきそうである。

 MEMS技術が,半導体メーカーに新たな収益をもたらそうとしている。MEMSによる加工技術が,これまで電子部品や光学部品でしか実現できなかった機能を半導体に与えるようになる(図1)。

【図1 半導体メーカーが新たな事業領域を取り込む】携帯電話機向けのRF(無線周波)回路と,カメラ・モジュールの事業領域の変化を示した。半導体メーカーは,MEMS加工技術の利用によって,デバイスの事業領域が広がる。本誌が作成。
図1 半導体メーカーが新たな事業領域を取り込む
携帯電話機向けのRF(無線周波)回路と,カメラ・モジュールの事業領域の変化を示した。半導体メーカーは,MEMS加工技術の利用によって,デバイスの事業領域が広がる。本誌が作成。
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 このような状況はこれまで可能性にとどまっていたが,ここへ来て具体化してきた。MEMS技術が,コストや信頼性の面で,携帯電話機をはじめとするさまざまなアプリケーションの量産に使えるレベルに達したためである。

STがカメラ・モジュール,東芝が無線回路

 伊仏STMicroelectronics社(ST)は,2009年からMEMS加工技術を使った新たな製造手法を,携帯電話機向け小型カメラ・モジュールに持ち込む(「カメラの製造手法をMEMSで変える,半導体メーカーの事業領域に」。MEMS加工という半導体製造プロセスの派生技術を利用することにより,現在は光学部品メーカーから調達しているレンズなどの部品を自ら手掛けられるようになる。同社自身は,周辺の事業領域に自ら取り組む具体的な計画は現時点でないとしているが,製造コストを考慮すると将来的に内製化を進めていく可能性は高い。