PR

若者はテレビに関心を向けない

 残念ながら,こうした未来像と現在のテレビの間には大きな隔たりがある。レコーダーの力を借りてすら,時に番組を見逃し,悔しい思いをする。テレビの Webブラウザーは,パソコンどころか携帯電話機より動作が遅く,使う気がそがれる。「YouTube」を見られるテレビはあっても,リモコンでは面白い動画は探しにくい。

 若者にとってテレビの「面白さ」は,パソコンや携帯電話機と比べて相対的に低下していると言わざるを得ない(図2)。テレビの電源が入っていても,実際に見ているのはパソコンや携帯電話機の画面。話題になった番組があれば, YouTubeで探して見てしまう。新聞を購読していないため,番組表が頭に入っていない。「平均視聴時間にこそ劇的な変化がないが,テレビは明らかにパソコンや携帯電話機にアテンションを奪われている。広告媒体としてのテレビ放送の価値が下がるのも無理はない」(野村総合研究所コンサルティング事業本部 情報・通信コンサルティング部 副主任コンサルタントの三宅洋一郎氏)。

†アテンション=注意,関心の意。情報過多の社会では,消費者のアテンションが希少財となる。パソコン,携帯電話機,テレビ,紙媒体を含むあらゆるメディアが,この希少財の争奪戦を繰り広げている。

図2 テレビの視聴習慣は既にネット連携型に変わりつつある
図2 テレビの視聴習慣は既にネット連携型に変わりつつある
10~20代の若者を中心に,日本におけるテレビの視聴習慣に大きな変化が現れている。テレビを視聴すると同時にパソコンやケータイでWebコンテンツに触れる習慣や,テレビで見逃した番組をYouTubeで視聴する習慣は,若者の間ではごく一般的なものになった。一方,若者は新聞の購読頻度が低く,番組欄から見たい番組を選ぶ習慣が希薄化しつつある。(a)は「この1週間のうちに,テレビをつけながら,ほかにどんなことを同時(一緒)にしたことがあるか(複数回答)」との質問に「携帯電話でネットを使う」「パソコンでネットを使う」とそれぞれ答えた人の割合。(b)は「見たい番組を見逃したらYouTubeで検索するか」との質問に「とても当てはまる」「やや当てはまる」と答えた回答者の割合である。(a)と(b)は電通総研の,(c)は日本新聞協会の資料に基づく。電通総研の調査は,全国15~59歳の男女1万人を対象としたインターネット調査であるため,国民のうちパソコンでインターネットを利用していない3割強の層を除外していることに注意。(c)は,新聞(朝刊)の閲読頻度について「週に1~2日」「それ以下」「読んでいない」と回答した人の割合の合計である。