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テレビに適したUIを開発する

 テレビ・メーカーに求められているのは,ユーザーのわがままにきめ細かく答えられるプラットフォームを提案することである。具体的には二つの段階を経る。まず第1に,映像や画像を含めたWebコンテンツをテレビでも楽しめる,軽快なUI/アプリケーション実行環境(ランタイム)を整備する。これにより,STBなど外付け機器に頼らずに,後から機能やサービスを拡張できるようになる。第2に,こうした実行環境を用いて放送番組と連携し,番組の面白さを増幅する機能やサービスを開発する。

 「未来のテレビ」の実現が現実味を帯びてきた背景には,テレビのネット接続率が急速に高まりつつある事実がある。例えば,HDTV映像配信サービス「アクトビラビデオ・フル」。対応したテレビはまだ多数派ではないが,ネット接続率は平均で3割,機種によっては4割以上に達する。これまでテレビをネットに接続するユーザーがほとんど皆無だったことを考えれば,劇的な変化といえる。「(SDTV映像配信サービスを備える)アクトビラビデオ対応機と比べ,接続率が数倍は高い。『HDTVの映画や海外ドラマを大画面で見られる』というメリットが,予想以上にユーザーに評価された」(アクトビラ 取締役 経営企画グループGMの坂下弘典氏)。

 ただし,アクトビラが準拠するデジタルテレビ情報化研究会の仕様(以下,DTV仕様)は,未来のテレビを実現するには中途半端であり,多くの課題を抱える注1)。放送番組をリモコンのザッピングで軽快に選ぶという視聴体験に慣れたユーザーにとって, HTMLブラウザーを用いたもっさりした画面遷移や,アクセスのたびに1~2秒を要する機器認証は敷居が高い。「ユーザーのストレスを軽減する改良が必要。VODサービスのようにユーザーの目的が明確な用途ならまだしも,それ以外のサービスへの展開は難しい」と複数の技術者が認める。

注1)アクトビラのUIを表示するHTMLブラウザーの仕様は,2003年にテレビ・メーカー5社が設立した「デジタルテレビ情報化研究会」が規定したもの。ブラウン管テレビを含めた当時のあらゆるテレビに対応させる目的から,既にテレビへの搭載が進んでいたSDTV解像度のHTMLブラウザーでUIを構成する仕様となっている。