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(前回から続く)

Intel社は,テレビ向けSoCとしては「常識外れ」ともいえる性能を持つチップ「Intel Media Processor CE 3100」(開発コード名:Canmore)を開発した(チップの概要はこちら)。このチップの狙いについて,Intel社でDigital Home Group, Senior Vice President, General Managerを務めるEric B. Kim氏に聞いた。

─CE 3100が対象とするデジタル家電は。

 五つある。(1)Blu-ray Discプレーヤーなどの光ディスク機器,(2)インターネットに接続できるSTBやPVR,(3)サービス・プロバイダーが提供するIPTV-STB,(4)ケーブルテレビや衛星の事業者が提供するSTB,そして(5)デジタル・テレビそのものへの搭載,だ。特に(5)は,潜在的に最も大きな市場になり得る。

─これまで,テレビをネットにつなげる試みの大半は失敗している。

 私は,Samsung Electronics社に在籍していた時も含め,約10年にわたって,放送事業者,広告事業者といった重要なプレーヤーと付き合ってきた。それが今回,初めて「太陽と月と惑星たちが一線上に並んだ」と感じている。

 実際,ABC社,米CBS社は既に,Widget Channelを通じて番組を提供することを表明した。このほかにもBlockbuster社やCinemaNow社なども映像コンテンツを提供する。

 我々が行ったさまざまな調査が示すのは,「消費者は,やはりテレビが好きである」ということ。我々は,テレビを変えるのではなく,テレビを強化することを目指す。テレビは,ソファにゆったり座って見られるデバイス。これを維持したまま,テレビ放送とシームレスな形で双方向性を実現する。

 その手段の一つがYahoo!社と開発したWidget Channelだ。放送番組と同一画面内に,メニュー画面やウィジェットを表示できる。

Eric B. Kim氏
Eric B. Kim氏
Intel社 Digital Home Group, Senior Vice President, General Manager
(写真:中野 和志)

─CE 3100の仕様を決める上で重きを置いたのは。

 最新のインターネット技術との互換性を保つことだ。消費者は既に,放送やケーブルテレビなどでリッチな映像を体験し,パソコンではリッチなインターネットを体験済み。もはや,インターネットのサブセットでは消費者は満足しない。この結果,プロセサ・コアだけで3000MIPSという処理性能を持つ高性能なSoCになった注A-1),1)

注A-1) 汎用プロセサ・コアとして,動作周波数800MHzの「Intel PentiumM プロセッサ」を搭載するほか,2チャネルのMPEG-2/VC-1/H.264復号化器,2次元/3次元映像アクセラレータ,各種暗号化回路,DSP,HDMI送信回路,SATAインタフェースほか各種インタフェースを備える。

 OSには組み込みLinuxを採用した。デジタル家電向けにフットプリントを可能な限り小さくした。メモリ容量は256Mバイトあれば十分に動作する。

─デジタル機器の開発者にとって,CE 3100を採用することの利点は。

 86系プロセサ向けのソフトウエア資産や,ソフトウエア開発環境が充実していることだ。例えば,Flash実行環境の移植は,パソコンのLinux向けFlashを基に,ものの五分もかからず完了した。

 家電メーカー自ら,CE 3100のパワーを使って消費者にリッチなサービスを提供することもできる。消費者は,家電メーカーのブランドと信頼性でテレビを買っている。この意味で,家電メーカーは他のプレーヤーより極めて優位な位置にいる。

 こうした競争環境でメーカー間の勝負を決めるのは,「画面の大きさ」「画質の良さ」といった領域を超えた,消費者に提供できるユーザー・エクスペリエンスの優劣になるだろう。