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(前回から続く)

ラミネート型使うAESC

 Liイオン2次電池の原理は、Liイオンが正極および負極材料の結晶中に入ったり出たりすることによる電気化学反応を利用する。充電時には正極からLiイオンが引き抜かれて、負極に移動。放電時には負極からLiイオンが正極に移動し、電子が外部回路を通って正極に向かうことで電流が流れる。

 一番の課題である安全性向上のために各社が改良を加えてきたのが、まず正極の材料である。民生用機器などで一般的な正極材は層状構造を持つ LiCoO2(コバルト酸リチウム、以下Co系)。Co系は内部短絡などによって百数十℃以上に加熱されることで結晶構造が壊れて酸素が発生。有機系の電解液と反応して発火や発煙を起こすことが指摘されている。

 このため車載用ではCo系より安定性の高い材料が使われている。その一つがAESCが採用しているLiMn2O4(マンガン酸リチウム、以下Mn系)。スピネル構造を持つこの材料は、Liイオンが抜けた後も結晶が崩れにくく、酸素も発生しないため安定性が高い(図5)。

図5 AESCは正極材にMn系を採用
図5 AESCは正極材にMn系を採用
充電時に正極からLiイオンが抜け出るが、スピネル構造のマンガン酸リチウムは結晶が安定している。

 AESCの場合、Mn系の正極材を用いるほか、もう一つ特徴がある。それは電池セルの構造として正極と負極を積層していき、レトルト食品の真空パックのような形状とした「ラミネート型」としたことだ。

 Liイオン電池で一般的なのは、一対の正極と負極を心などに巻き取って、円筒もしくは角型の容器に収納した「巻回(けんかい)型」である。今回紹介する主な電池は、AESC以外すべて券回型を採用している()。

表 主要なLiイオン2次電池の仕様
表 主要なLiイオン2次電池の仕様
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