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(前回から続く)

ミラーを回さず、超小型のレーダ実現

 図8 デンソーが開発したプリズム
図8 デンソーが開発したプリズム
レーザレーダの小型化に役立つ

 MEMSの技術を使って光学式センサを小型、低価格化した例も出てきた。デンソーはSi基板上にガラスのプリズムを多数作り、クルマの周囲を監視するレーザレーダを安価、小型にする技術を開発した(図8)。

 レーザレーダは、光を対象物に当てて、その反射光を見る。光源は一つなのに対して、対象物は広く分散している。今はポリゴンミラーを回して光を分配している。装置全体は握りこぶしより大きい。ミラー、軸受、モータなど部品の寸法には下限があるため、小型化にも限度がある。

【図9 光の照射原理】回転するポリゴンミラーなしで、光を照射できる。
図9 光の照射原理
回転するポリゴンミラーなしで、光を照射できる。
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 開発中のレーザレーダは、例えば5個のレーザダイオードを並べ、それぞれから出た光を5個のプリズムを介して広く分散させる(図9)。小型化できる上、動く部品がなくなり、信頼性も上がる。

 このプリズム5個を、MEMSの製法で基板上にまとめて作ろうというのがデンソーの技術である。まずSi基板をドライエッチングして、プリズムの部分を残して掘り込む(図10)。プリズムの部分には、やはりドライエッチングで細い溝を等間隔に彫る。

【図10 プリズムの製法】Siにエッチングで細かい溝を彫っておき、それを酸化する。Siは酸化してガラスになり、膨らんで溝はなくなり、バルクのガラスができる。
図10 プリズムの製法
Siにエッチングで細かい溝を彫っておき、それを酸化する。Siは酸化してガラスになり、膨らんで溝はなくなり、バルクのガラスができる。
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 これを熱酸化させ、SiをSiO2にする。SiO2はガラスであるから透明になり、プリズムとして使える。SiがSiO2になるときに膨らむが、ちょうど掘ってある溝の空間があるため、そこを埋めるように膨らみ、お互いにつながって一体のガラスになる。一体であるため、レンズ一つずつ光軸を調整する手間が要らない。

 これを実現したのが深掘りドライエッチングの技術だ。ドライエッチングは、下に向けてエッチングを進めていくと、どうしても横にも進む。深く掘ると、手前が広がり、先細りになってくる。それを解決するために、エッチングする工程と、側壁にSiO2の保護膜を付ける工程を繰り返すことによって深く細く、しかも先細りにならない溝を彫ることができるようにした。SiをSiO2にして溝を埋めるような工程の場合、先細りでは、隙間が残って困るのである。