エレクトロニクス産業はこれまで,Si(シリコン)を中心に発展してきたが,Si系素子の性能向上に限界が見えてきたことから,有機材料を使ったデバイスに関心が集まっている。これまでムーアの法則にそって進化してきたSi系素子が,90nmルールを境に顕在化し始めたリーク電流の増加によって,これまで通りの性能向上は難しいという見方が出てきたのである。これに対して有機材料は,Si系とはまったく異なる特徴を持っており,新たなイノベーションを生む可能性が出てきた。

 有機材料の特長は,主に二つある。第一は,フレキシブルで薄くしても壊れないなど形状面でユニークなこと。このため腕の形状に合わせた携帯機器など新しい概念の電子機器が登場すると考えられている。第二は,インクジェットやロール・ツー・ロール法などの印刷関連の技術が適用でき,プロセス・イノベーションを起こす可能性があること。Si系の露光・蒸着などのプロセスに比べて,圧倒的なコストダウンと大面積デバイスを可能にすると期待されている。

 ここでは,有機材料が開く有機エレクトロニクスの開発状況を(1)フレキシブル・ディスプレイ,(2)有機EL照明,(3)有機太陽電池の三つの分野について見ていく。