PR
新型プリウス
新型プリウス
オプションでルーフに太陽電池を装着できる。

 グリーンカー部門賞は、トヨタ自動車が2009年5月18日に発売した新型ハイブリッド車「プリウス」。販売目標1万台/月に対し、発売時点で「既に8万台を超える受注がある」〔トヨタ自動車副社長(当時、2009年6月23日から社長)の豊田章男氏〕ほどの人気。205万円からという、同クラスのガソリン車に対してほとんど差がない低価格が、販売を押し上げた。

 3代目の新型プリウスは、エンジンの排気量を1.5Lから1.8Lに増やしたことで、高速走行時の回転数を低く抑え、燃費を向上させた。また、ハイブリッドシステムは小型・軽量化してコストを抑えた。同社によれば、発電機と駆動用モータの合計質量を約4割低減し、コストダウンにつなげた。これらの軽量化は、ハイブリッドシステムの約3割のコスト削減にもつながっているという。

 軽量化の決め手になったのは、駆動用モータの高電圧化・高回転化と、発電機におけるコイルの巻き方の変更。駆動用モータでは、モータへの印加電圧を2代目プリウスの最高500Vから最高650Vへと変更するとともに、最高回転数も2代目プリウスの約2倍となる1万3900rpm程度に上げた。

 印加電圧を上げると同じ出力を得るのに必要な電流値を下げられるため、モータの小型・軽量化に役立つ。また、回転数の倍増は、半分のトルクで同等の出力を得られることを意味する。モータの体積は大まかにはトルクに依存するため、回転数を高めるとモータの小型・軽量化につながることになる。モータには減速比が2.6の減速歯車(遊星歯車機構)を付加して、必要なトルクを得られるようにしている。3代目プリウスでは、駆動用モータの出力を従来の50kWから60kWへと高めているが、上記のような取り組みで体積や質量を従来の半分近くに低減しているという。

ハイブリッドシステム
ハイブリッドシステム
モータや発電機を小型・軽量化した。

 発電機については、コイルの巻き方を従来の分布巻きから集中巻きに変えた。これにより、コイルエンド(ステータエンドから飛び出すコイル部分)の長さと軸方向の厚みを小さくして小型・軽量化を図った。駆動用モータと発電機自体がどの程度小型・軽量化できたかを同社は明らかにしないが、発電機と駆動用モータの合計で、前述のように約4割軽量化できたとしている。この結果、ハイブリッドシステム全体の質量は、従来の109kgから88kgへと減った。

 新型プリウスのプラットフォームは「オーリス」「ブレイド」などに採用した3ナンバーサイズの「新MC」。ベースグレードの「L」の場合、10・15モード燃費は38km/Lで、JC08モード燃費は32.6km/L。10・15モード燃費は、先代よりも2.5km/L向上した。

 燃費以外でも環境に配慮しているのがシート。トヨタ紡織がトヨタ、三井化学と共同で開発した、植物由来の原料を用いた自動車用シートクッションを採用した。シートクッションに使用するポリウレタンを、従来のポリオールからひまし油に変えたのが特徴だ。乗り心地や品質、質量を従来と同等としながら、ライフサイクルでのCO2排出量を抑制した。 (鶴原 吉郎=日経Automotive Technology)

次ページに開発者の談話を掲載しています。