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――電子新聞は,いつごろ市場に登場することになりそうですか。そして,それはどのような端末・サービスの姿になるのでしょうか。

 今のところ,一番早く進めている新聞社が,2008年末ごろまでに数千台規模で実証実験を始める見込みです。実証実験を経て,2009年の後半くらいには具体的なビジネスに移行していくと思います。

 端末・サービスの形態については,各新聞社がそれぞれ独自の考えに基づいて検討を進めています。例えばHearst社の場合,コンテンツ供給はもちろんですが,端末も自社で開発しようとしています。一方,欧州の新聞社などは,コンテンツのみを供給するという姿勢が強く,端末については既に存在するものを利用したり,OEM供給を受けたりする考えのようです。その辺りは,各社まちまちですね。

(写真:栗原 克己)

――現時点での電子ペーパーの主要な用途である電子ブックに関しては,米Amazon.com,Inc.が2007年11月に発売した「Kindle」の販売が好調のようで,業界の注目が集まっています。電子ブックに向けた機器メーカーの取り組みも活発になっていますか。

 活発です。現在,当社の電子ペーパーを利用した電子ブックは,Amazon社のKindleを含めて世界で8社が量産しています。これが,2008年後半には12~15社に増える見込みです。つまり,現在4~7社が量産に入る準備を進めているところです。ちなみにこれらはすべて海外のメーカーで,日本の機器メーカーは含まれていません,残念ながら…。

――E Ink社の電子ペーパーを使った電子ブックといえば,世界で初めて製品化したのはソニー(2004年4月に発売した「LIBRIé」)でした。

 電子ペーパーが本格的な実用段階に入る前,私はパートナーを探すため,世界のさまざまな機器メーカーを回りました。その中で,電子ペーパーという最先端のデバイスを使って新たな市場をつくろうという考えを持つメーカーは,ソニーしかありませんでした。ソニーは非常に積極的でした。

 しかし,やはり新規デバイスということで,製品開発の過程ではさまざまな問題が浮上しました。例えば,階調や残像などの表示品位が十分ではない問題。もちろんコストの問題もありました。ただ,問題はいろいろあったのですが,結局最後は,ソニー上層部によるトップ判断で発売に踏み切ったと聞いています。まさに,ソニーとしての意気込みですね。

 我々としても,全力でソニーをサポートしました。当時進めていた時計やPOP(point of purchase)など,ほかのプロジェクトはすべて断らせていただき,リソースをソニーのプロジェクトだけに絞ったほどです。「これが成功しないと,この会社はうまくいかないんです」と,顧客に頭を下げて回りました。