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加藤 敏春 氏
加藤 敏春 氏
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(前回から続く)

――スマートグリッドはインターネットに比較してネットワークの規模が100倍~1000倍になる可能性があるということですが,そこから生まれる変革というのは,どのようなことが考えられるのでしょうか。

加藤氏 例えば家庭の様々な機器がネットワークに接続される。もちろんハイエンドの機種もあれば単機能のデバイスもあるでしょう。ただし,いずれにも共通しているのは,ネットワークからみると,いずれも「センサ」になりうるということです。いわば,巨大なセンサ・ネットワークが出現することになります。

 この巨大なセンサ・ネットワークは,インターネットとは比較にならないほど膨大なリアル情報を,バーチャルなネット空間に投影する。これは,いわゆる「仮想と現実の融合」と言われてきた世界観というか,パラダイムの変革を生み出すものだと思う。

無数の「価値向上」を生む

 「ポストWeb 2.0」の議論では,「仮想と現実の融合」というキーワードがよく語られます。しかし,その具体的なイメージを持っている人は少なかったのではないでしょうか。それが,スマートグリッドの登場によって,現実のものになりうると思います。

 私はこれこそ,最近「クラウド・コンピューティング」というキーワードで語られているものが,目指している世界そのものだと思っています。クラウド・コンピューティングというものも,いまひとつピンと来ない例が多かったと思いますが,スマートグリッドによる巨大ネットワークの誕生が引き起こす仮想と現実の融合が,クラウド・コンピューティングのインパクトを非常にわかりやすく実証することになるでしょう。

 インターネットの変革が私たちに見せつけたことの一つは,「メトカーフの法則」として言われるように,ネットワークに加わるユーザーの数に比例して相乗効果で価値を高めていくという自己組織化現象です。例えばネットワークをベースに形成されていった「Linux」は,そこで自己増殖し,利用が広がっていくというスキームだった。ネットワークの規模が大きくなれば,こうした価値向上は無数の分野で生まれていく。スマートグリッドの志向する巨大なネットワークが出来上がったとき,どれほどの価値を生み出すのか,まだ誰も把握できていないだろうが,それがすさまじいインパクトを引き起こすことは容易に想像することができます。

――「スマートグリッド」という言葉は,いまひとつ漠然としており,つかみきれないところもあります。非常に広い範囲の取り組みを総称しているからでしょう。その中でもどのような分野や市場が,今シリコンバレー地域で盛り上がっているのでしょうか?