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加藤 敏春 氏
加藤 敏春 氏
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加藤氏 私は,「スマートグリッド革命」と言われているものの中核は「HEMS(home energy management system)革命」だと思う。HEMSというのは,家庭の様々な機器のエネルギー利用状況を把握したり調節したりするシステムです。今米国の様々な企業が,このHEMSに向けて注力を強めています。私は先ほど,スマートグリッド革命を「壮大なるオペラ」と例えましたが,「HEMS革命」は,その第1幕に相当すると思っています。

HEMS革命が始まる

 HEMSに対しては一般に,「見える化」という言葉で,その意義が語られます。つまり,エネルギーの利用状況や温室効果ガスの排出量などを,家庭の消費者に「見えるようにする」ことで,消費者の自発的な省エネルギー行動を促すという考え方です。しかし「見える化」だけでは不十分でしょう。「見える化」によって得られる省エネルギー効果というのはそれほど大きくない。しかもその効果はだんだんと飽和してしまう。「見える化」だけでは,短期的な解に終わってしまいかねない。

 私はHEMSには三つの段階があると思っています。まずは「見える化」ですが,次に「わかる化」があり,最後に「行動をとらせる化(アクション化)」というものです。単に利用状況を見せるだけではなくて,その環境への影響をわからせ,そして実際に省エネルギー行動,さらにはCO2削減行動を取るように仕向ける仕組みです。HEMSは,この「アクション化」まで持ち込まなければ意味がありません。

 消費者をアクション化まで持ち込むためには,具体的なインセンティブが必要です。大事なのは,こうしたシナリオをきちんと描いたビジネス・モデルを進めるということです。

 HEMSは日本でも取り組みがありますが,まだ「見える化」が語られているに過ぎません。米国ではようやく,「見える化」からその次の段階に進み始めていますが,まだ「アクション化」までは至っていない。先日,米国でスマートグリッド関連のイベントに参加した際に,そうした状況を把握できました。

クルマと家庭をつなぐ

 このイベントに参加してわかってきたのは,米国の多くの企業が,HEMS市場に極めて大きな期待を抱いているということです。HEMSは今後3年間に,米国だけで年間30億米ドルの市場が見込めるという予測も出ています。このため例えば,Microsoft社,Google社,Cisco社,Verizon社,AT&T社,Nokia社,Intel社,Samsung Electronics社,LG社といった大手企業が軒並み参入意欲を示しています。