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加藤 敏春 氏
加藤 敏春 氏
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(前回から続く)

――HEMSのビジネス・モデルは,かなり成功しそうなのでしょうか。

加藤氏 私はこうしたHEMSのビジネス・モデルが本当に成功するかどうか,まだ見えない面があると思っています。というのは,HEMSに取り組む企業の多くは,その収益を電力事業者に依存する格好にしています。いずれはやはり,消費者から収益を得るモデルに移行しないと,長期的な成長は望めないのではないでしょうか。

 電力事業者に依存するモデルというものに疑問を抱いている理由は,そもそも現行のフレームワークというか,電力事業者を中心とした米業界のヒエラルキーが,果たしていつまで続くだろうかと,疑問視しているからです。

米電力会社の大再編も

 私は,米国では今後,電力事業者自体のビジネス・モデルが,分散電源の導入などによって大きく変容すると考えています。米国には300を超える電力関連事業者がありますが,中にはスマートグリッドが進展すると,売上高が減少して撤退するところも出てくるでしょう。その際には,業界再編が起こることになります。現在,電力事業者に対してスマートグリッドにいかに取り組むかというテーマのコンサルティング・サービスが,大きな需要があると聞いています。シリコンバレーにある全米最大の電力系研究機関「EPRI(Electric Power Research Institute)」などには,多くの電力会社からコンサルティングの依頼が持ち込まれています。これは,多くの電力事業者が,その事業存続に大きな不安を抱いていることを示しています。

 つまり,現行の電力事業者が今後も存続することを前提にしたビジネス・モデルは,スマートグリッドが起こすであろう大変革から考えると,まだまだ十分ではないということです。必ず,もっとドラスティックな変革が起こるでしょう。

――90年代にシリコンバレーで起きたインターネット革命よりも大きいと?

加藤氏 そうですね。もっともっと大きいです。

 例えばインターネットの登場によって,コンピュータの世界のプレイヤーはだいぶ変わりましたね。私がシリコンバレーに駐在していた1993年当時,IBM社は倒産するのではないか,と噂されていました。メインフレームから始まったコンピュータの流れからいえば,インターネットはそれを駆逐するほどのものでしたから。しかし,IBMは倒産するどころか,さらに大きく飛躍を遂げた。それは,彼らがそのビジネス・モデルを変えてきたからです。そのIBMが今,スマートグリッドに並々ならぬ力を注いでいるのは,大きな意味を感じてしまいます。今のIBMはかつてのIBMではありません。今後のスマートグリッド革命で,さらに変革を遂げることでしょう。