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 ネットブックに続けとばかりに,この市場を狙うのが「スマートブック」や「MID(mobile internet device)」と呼ばれる端末である。2009年6月に台湾の台北市で開催された,パソコン関連の展示会「COMPUTEX TAIPEI 2009」では,こうした端末が続々発表された。

 スマートブックは,携帯電話機などに採用されているARMコア・ベースのプロセサを手掛ける米Freescale Semiconductor, Inc.と米Qualcomm Inc.が発表した製品コンセプトである。部品レベルでは,Qualcomm社の「Snapdragon」やFreescale社の「i.MX515」といったプロセサと,起動が速いLinuxベースのOSを搭載する。外観はネットブックに似ているが,ネットブックに真っ向勝負を挑むものではない。ネットブックとスマートフォンの間の市場を狙う。インターネット端末に徹してより低価格化し,消費者がネットブックに抱いている不満の解消を目指しているようだ(図3)。「誰でも衝動買いできる200米ドル以下」(Freescale社)で提供される見込みである。

【図3■スマートブックとMIDの製品イメージ】 スマートブックを提唱するQualcomm社と,TegraでMID市場に乗り込むNVIDIA社のそれぞれが思い描く製品のイメージを示した。
図3■スマートブックとMIDの製品イメージ
スマートブックを提唱するQualcomm社と,TegraでMID市場に乗り込むNVIDIA社のそれぞれが思い描く製品のイメージを示した。
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 同様の市場を狙うMIDは,画面サイズが4~6型と,携帯電話機より少し大きい新手のネット端末である。こちらを提唱したのは,「Atom」プロセ サを普及させる狙いを持つ米Intel Corp.。同社のMID戦略は,2010年に本格化する。そのころ登場する次世代Atomを使った参照設計「Moorestown」(開発コード)と,自社で開発を進めてきたLinux OSの最新版「Moblin 2.0」を組み合わせる考えだ。

Google 社もネットOS提供へ

 MID向けプロセサの提供をもくろむのはIntel社だけではない。GPUで有名な米NVIDIA Corp.やCPUコア・ベンダーの米MIPS Technologies, Inc.もそうだ。NVIDIA社は,自社開発したARM11コアを搭載したメディア・プロセサ「Tegra」を利用した製品を,2009年末には登場させる。100米ドルを切る価格での販売が可能という。MIPS社はMIPSアーキテクチャを米Google Inc.のソフトウエア・プラットフォーム「Android」向けに最適化して,MIDへの利用をもくろむ。

 そのGoogle社は2009年7月,Webブラウザー「Chrome」をベースとした新しいパソコン向けOS「Chrome OS」を発表した。2009年内にオープンソースとして公開する。Google社の狙いも,ネットブックやそれに続くMIDなどのネット端末である。

 現在主流のネットブックは,Intel 社のAtomプロセサと,米Microsoft Corp.の「Windows XP」を組み合わせる。だが,今後はこの市場にARMやMIPS系のプロセサ,そしてAndroidやChrome OS,Moblinとい ったLinux系OSを採用した数々の端末がなだれ込む。パソコンとスマートフォンの間には,多数の選択肢が生まれることになる。このような,ネット端末とサービスを一体化した新しいビジネスも早晩登場するだろう。

―― 次回へ続く ――