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(前回から続く)

 HTML 5は現在,World WideWeb Consortium(W3C)で策定作業が進んでいる,次世代のWeb技術標準である。今までのWeb技術がテキストや画像,動画といったコンテンツの表示に焦点を当てていたのに対し,HTML 5ではアプリケーション・プログラムの実行環境へと大きく舵を切った点が異なる。これが普及すれば,パソコンだけでなく,スマートフォンや携帯電話機,さらには家電機器で共通のアプリケーションを実行しやすくなる。

 仕様自体はまだ策定中であるものの,Webブラウザーにおける“HTML 5対応”は既に始まっている。W3Cは現在,実装されない規約は意味がないとの姿勢を取るからだ。仕様の正式な勧告より実装が先行する状況を,むしろ推奨している。

 例えば米Apple Inc.は,パソコン用のWebブラウザー「Safari 4.0」にHTML 5への対応を数多く取り込んだ。パソコン用でシェア2位のWebブラウザー「Firefox」も,2009年7月に公開した3.5版でHTML 5への対応を始めたところだ。ノルウェーOpera Software社も,9.6版で対応している(図1)。これらWebブラウザーのメーカーは,いずれもHTML 5の仕様策定を積極的に推進している。ただしその対応度合いは統一されていない。

【図1■HTML 5を巡る動き】 規格の策定と並行して,Webブラウザーにおける実装が始まっている。それを利用したオンライン・サービスも登場し始めた。普及につれて,ソフトウエア・プラットフォームとしての地位を確立するだろう。さらにその後,家電などをコントロールする窓口としての用途が広がっていく可能性がある。
図1■HTML 5を巡る動き
規格の策定と並行して,Webブラウザーにおける実装が始まっている。それを利用したオンライン・サービスも登場し始めた。普及につれて,ソフトウエア・プラットフォームとしての地位を確立するだろう。さらにその後,家電などをコントロールする窓口としての用途が広がっていく可能性がある。
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Webが実行環境に

 HTML 5の特徴は,アプリケーション・ソフトウエアを作りやすくするさまざまな機能を備えている点である。ローカルにデータを保存する機能をはじめ,ドラッグ・アンド・ドロップ操作対応による操作性の向上や,緻密な画像の描画を可能にするといった改良を加えた。これまでのWebアプリケーションとは一段階レベルが違うアプリケーションを開発できる。

 既にWebアプリケーションでは,Ajax(asynchronous JavaScript+XML)と呼ばれる仕組みを利用したアプリケーションが開発されている。だが,その仕組みは基本的にネットワーク接続が前提で,ネットワークから切り離した状態では十分な処理が実現できなかった。HTML 5の新機能を利用すれば,サーバーに頼らずともアプリケーションを構築できる。