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食品トレーサビリティの仕組み

 そうと決めたら,コープさっぽろは速い。北海道の消費者・生活者でもある組合員と,協力してもらう生産者やメーカーを守るために,5年前から取り組んでいた「トレーサビリティ・システム」の全面導入時期を,さらに前倒しすることに決めたのだ。もちろん,あのミートホープ事件以来,コストは掛かるが,すべての食品に使う原料肉の肉質について,疑念のある商品からDNA鑑定を順次進める仕組みをつくって実行している。その上で,食品の生産者から消費者に至るまでのすべての流通経路と中身の情報をデータベース化し,消費者が店頭で簡単に見ることができる仕組みを全力で開発しているのである。

 安全・安心を直接知ることができる,食品トレーサビリティ・システムの概要はこうだ(図2)。

 まず生産者やメーカーは,生産する食品に使う肥料や飼料,農薬や動物医薬,原材料の生産地などと生産に関する履歴,具体的に言えば,加工あるいは処理した日時,調理や製造した日時などをすべて入力する。入力された情報はコード管理サーバに集約され,情報にひも付けられたコードを割り当てて発行する。消費者は,印字されたコードとセンターに登録された情報を携帯電話機などの端末で照合することにより,製品の品質や履歴を,正確かつ容易に把握することができる。

 例えば卵の場合,5~8ケタの数字から成る固有のコードがインクジェット・プリンタで卵一つひとつに印字される。この印字に用いるインキも食べられるというのだから,安全性へのこだわりには本当に頭が下がる。

図2 トレーサビリティ・システムのフロー(卵の場合)
容易ではないが,消費者に安全・安心を見てもらうには,ここまでやるしかないのだ。
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情報開示への抵抗

 ミートホープ事件の教訓から,コープさっぽろは考え方を「性善説」から,不本意ながら「性悪説」に切り替えた。誰だって,疑うことが前提なんて寂しい気持ちになる。しかし消費者を守るためには,あえて疑わなければならない。当然,生産者やメーカーにすべての情報開示を求めることになる。

 だが,これが厄介だ。コープさっぽろの取引先,約700社近くのすべてがすべて,同じ姿勢であるわけではないからだ。「今までは問題がなかったのに中国製と一緒にされてはたまらない」とか「ちゃんとやっているから大丈夫」とか,情報開示への姿勢にはとんでもない温度差があるのだ。

 しかし大見氏は,ここでも強力なリーダーシップを遺憾なく発揮した。一度は経営破綻を体験し,どん底から再建への道筋を付けた一員として,一番大切なのは組合員であるお客様,消費者であることを誰より知っていたからだ。何回も何回も取引先を集めては説明会を開き,情報開示の大切さを訴えた。それが奏功して,今(2008年3月10日現在)では若干5社を除き,情報開示に積極的に取り組んでいる(図3)。なお,この5社は技術的な問題を解決するために遅れているのであって,拒否しているわけではない。念のため。

図3 トレーサビリティの情報内容

アレルギー情報も