医療・健康分野で機器を製造/販売する際,避けて通れないのが「薬事法」である。医薬品や医薬部外品,化粧品,医療機器に関する規制を定めた法律だ。
薬事法で指定されている医療機器は,ペースメーカーのように人命に直結するものから,はさみやメス,家庭で利用するような電子体温計や電子血圧計,さらにはマッサージ・チェアまで幅広い。これらは,人体に対する危険度が高い方から順に「高度管理医療機器」「管理医療機器」「一般医療機器」の三つに分類されている(表A-1)A-1)。
参考文献
A-1) 『よく分かる改正薬事法 医療機器編』,薬事
こうした機器を製造/販売する事業者は,厚生労働大臣の許可を受ける必要がある。製造管理や品質管理,製造販売後の安全管理などに対する能力を備えるかどうかの審査を通過しなければならない。さらに,機器ごとに品質や性能,効能,効果,安全性などのデータを集めて承認を受ける必要がある。審査を通過した機器には承認番号が与えられる。ただし,一般医療機器については承認が不要であるほか,「指定管理医療機器」に指定された機器の場合は承認ではなく,登録認証機関による認証が必要になる。
なお「医療機器」という呼び方は,2005年4月の薬事法改正で初めて登場した。それまでは「医療用具」と呼ばれていたが,電子技術との融合などによる用具の進歩に伴い,表現を改めた格好である。
ソフトウエアは…
薬事法に関して現在,ソフトウエアが議論の的になっているという。昨今の医療の情報化に伴い,さまざまなソフトウエアが医療の現場で利用されるようになっているためである。現在,ソフトウエアは薬事法の規制の対象ではないが,今後の動向に注目する必要がありそうだ。
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